池袋はいつから「ダサい」と呼ばれ始めたのか

「ダサさ」は街の強み、消し去ってはいけない

「地味」「ダサい」というまちのイメージはマイナスのようであるが、裏を返せば気張らなくてもいいというのが池袋の特徴である。池袋を語る資料からは不思議と「普段着」という言葉がよく見られる。池袋のイメージの生成は「駅袋」であったことと、この「普段着」さが合理的なまちの歩きやすさと相まって池袋を魅力的なまちにしたようだ。

「まるでセントラルパークのよう」という声もある南池袋公園。暗いイメージを一掃した(筆者撮影)

さらに近年豊島区が取り組んでいるイメージアップ戦略も効いてきている。豊島区では若い女性に住んでもらうための施策を積極的に打っていった。たとえば、子供を連れてきやすいようにきれいなトイレを整備することや保育所の充実といったものだ。さらに演劇をまちづくりの核に据え、シアターグリーン近くの「南池袋公園」は、ホームレスのいる公園からおしゃれな公園へと様変わりさせた。芝生の綺麗な公園は「まるでニューヨークのセントラルパークだ」と評する声もあるほどだ。

南池袋からさらに南にある「東通り」周辺では、最近おしゃれでセンスのいい店がちらほら見られるようになっている。たとえば、「『本』だけでなく、その先にある『体験』までを提供する」をコンセプトに掲げる書店、『東京天狼院』は「東通り」からはじまり、福岡・京都へ展開し、昨年はヤマダ電機裏にある商業施設「WACCA」に池袋駅前店をオープンした。

池袋には北の中華街、西の猥雑なまち、東の乙女ロードとサンシャインシティ、南の公園や新しくチャレンジングな店が広がるまちとさまざまな姿が浮かび上がってくる。そして中心となる駅には百貨店を中心とした巨大ショッピングゾーンが形成されている。至近距離でこれだけの多様性と利便性を味わえる街は他にないといえよう。

再開発で「ダサい」イメージを一掃?

そんな池袋に再開発事業の波がきている。東側では豊島区庁舎移転・造幣局移転により、サンシャインシティの東西で面的な再開発が行われている。旧豊島区庁舎エリアでは東急グループのシネコンをメインに「劇場空間」を意識したまちづくりが行われ、新豊島区庁舎周辺では新しいタワーマンションがいくつも建つ。

東池袋駅周辺にはタワーマンションが林立しつつある(筆者撮影)

最寄りの東池袋駅は現在有楽町線のみ停車するが、「地域から要望があり、利用者が見込めるようになれば副都心線にも駅を設けるという確認書を豊島区との間で締結している」(東京メトロ広報部)という。西口も三菱地所や東武鉄道が中心となって駅前の大規模再開発を行う。現在、東京芸術劇場前にあるバスターミナルを駅へ近づけることにより、交通の結節機能強化や商業施設のさらなる充実を図る予定だ。

また、1月31日には2019年度に池袋の東西4つの公園を結ぶバスを導入することが発表された。低速電動バスを導入し、「ななつ星in九州」のデザインで有名な水戸岡鋭治氏がバスの内装・外装や停留所などのデザインを総合プロデュースする。総事業費は約3億円だ。こうした施策により池袋の長年の課題だった面での再開発によるイメージ刷新がようやく実現しようとしている。

とはいえ、池袋を支えてきた一面として「地味さ」「ダサさ」もあるということは忘れてはいけない。まちの「先進性」でいえば、現在渋谷でも大規模な開発事業が進められており、今年完成予定の「渋谷ストリーム」にはグーグルの日本法人が移転する予定になっている。そういった状況で池袋が渋谷と同じような再開発事業を行っても、「池袋らしさ」や「池袋だからこそあるもの」といったものが失われてしまうだろう。それよりもこれまでの池袋の”味”をどのように保てるか。それが再開発と今後の池袋のイメージ形成のカギになりそうだ。

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