金融庁、コインチェックに対し業務改善命令 2月13日まで顧客対応策などの報告を要求

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 1月29日、金融庁は、巨額の仮想通貨が流出した問題で、仮想通貨取引所大手コインチェックに対し改正資金決済法にもとづく業務改善命令を出したと正式発表した。写真は都内で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 29日 ロイター] - 金融庁は29日、巨額の仮想通貨が流出した問題で、仮想通貨取引所大手コインチェックに対し改正資金決済法にもとづく業務改善命令を出したと正式発表した。事実関係と原因究明、顧客への適切な対応など4項目について、2月13日までに書面で報告するように求めた。

金融庁は同日、コインチェックの経営幹部らを同庁に呼び、処分を伝えた。同庁は28日に同社の経営幹部から聞き取りを実施。セキュリティーやシステム強化の重要性への意識が不十分で、必要な対策を怠っていたなどと判断した。金融庁はヒアリングで、事実関係、資金繰りや財務への影響なども聞いたが、「極めて不十分な内容であるとの認識」(幹部)としている。

報告を求めたのは、1)事実関係と原因の究明、2)顧客への適切な対応、3)システムリスク管理態勢に関する経営管理態勢の強化と責任の所在の明確化、4)実効性あるシステムリスク管理態勢の構築と再発防止策の策定ー─の4点。コインチェックは、業務改善報告が認められるまで事実上の業務再開はできない見通しだ。同庁はさらに必要に応じてコインチェックに立ち入り検査を行う方針も示した。

コインチェックは流出した仮想通貨NEMの保有者に対する補償を現金で行う方針を示しているが、同庁は「顧客に返せるとしている返済原資は確認中」としており、返済実施の具体的なスケジュールについても報告を受けていないとしている。

コインチェックは基本的な財務情報の開示も拒んでいるが、「(開示できない)その状態が、経営の態勢整備ができていない」と指摘している。

同庁はあわせて、全仮想通貨取引所に注意喚起をするとともに、今後は状況を調査して必要に応じて立ち入り検査に踏み切る。

コインチェックでは26日、仮想通貨NEM約580億円相当が外部からの不正アクセスで流出。ネットから隔離した「コールドウォレット」でNEMを保管せず、常時ネットワークに接続された「ホットウォレット」で管理するなど、セキュリティー対策を怠っていたことが判明した。

金融庁は仮想通貨取引所の登録制を2017年4月に導入。コインチェックは、導入前から仮想通貨の交換業を行っていたため、「みなし業者」として営業を継続してきた。

 

 

(和田崇彦、布施太郎)

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