「起業家的な働き方」をできない人たちの末路 従来型の「雇われ仕事」は消滅してしまう

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逆の言い方をすれば、企業で出世して経営陣になったところで、思考停止のまま働き、その地位に安住しているようでは、単に「従来型の雇われ仕事(ジョブ)」を重ねているだけである。

アメリカ社会では、「従来型の雇われ仕事(ジョブ)」のピークはもう過ぎ去ったと言われている。20世紀後半を象徴する、“高賃金の仕事が十分にある時代”はもはや過去のものなのだ。

「雇われ仕事」を得ることは難しくなっている

クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズによる2015年の報告書によると、1948年から2000年にかけて、就業者数は人口の1.7倍のペースで増加した。それに対し、2000年以降は人口が就業者数の2.4倍のペースで増えている。それだけ就業者が希少になっているということだ。

つまり、働きたい人が、雇われ仕事を得ることは難しくなってきている。

そのような人口構成の変化を背景として、「会社勤め的な働き方が有効な時代の終焉」の兆候を示す理由は、3つある。

1)過去10年間、通信技術が大幅に進化し、地球規模で教育水準が向上したことで、企業は世界中で人材を雇用できるようになった。従来型の雇われ仕事は、ますますアジアや南米、東ヨーロッパに流出している。
2)テクノロジーの進化は、ブルーカラーだけでなくホワイトカラーの仕事をも奪おうとしている。
3)大学の学位(学位、修士、博士)の保有者が激増し、大卒者の相対的な価値が低下している。

 

特に1は、雇われの身には大きな脅威だ。通信技術が大幅に発達し、リモートワーカーの採用や管理が簡単になった。これによって、従来型の雇われ仕事が先進国から流出している。

たとえば、10年前、有能な人材を確保するには、伝手をたよるか媒体に求人広告を出すしかなかった。しかし、今では、「Elance」「UpWork」「People Per Hour」「Freelancer.com」などのプラットフォームを使えば、世界中から優秀な人材を紹介してくれる。

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