「起業家的な働き方」をできない人たちの末路 従来型の「雇われ仕事」は消滅してしまう

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起業家精神は株式や資格と同じく、習得できるものだ。自分次第でいかようにも育てることができる。しかし、このことに気づいていない人が多い。ではどうすれば起業家精神を培うことができるのか。培うためには、起業家精神を持って働けばいい。

たとえば、大企業ではなくスタートアップで下積みする、一筋縄でいかないプロジェクトの責任者になる。こうしたことにチャレンジをすることで、自らの起業家精神の強化につながっていく。

起業家精神なきものは、この先死んでいく

20世紀型の「煩雑系」の知識労働が役割を終えつつある。知識労働は差別化しにくくなり、いまや希少価値ではない。誰でもできて当たり前の仕事になってしまった。

つまり、「従来型の雇われ仕事」は、ますます競争が激しくなり、うま味がなくなっているのだ。そんな状況でも、あなたはまだ、知識経済にコミットし、学歴や知識を重視した生き方を続けるのだろうか。

親や学校、企業というものは、世の中を安定した場所とみなす。しかしこの見方は、あくまで過去のスタンダードだということに気づかなければならない。

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古い価値観や固定観念に支配されたまま、役割を終えつつある「雇われ仕事」にコミットし続けたら、あなたの人生は収縮していくだけだ。

たしかに、以前は、親や先生が勧めるような、「従来型の雇われ仕事」は安泰だった。社会では、その安定が永遠に続くものだと信じられてきた。

しかし、過去の傾向だけを基準に、激変する現実から目を背けていては、新たな付加価値を創造していくことは不可能だ。もっと言えば、20世紀型の知識労働が過去40年間堅実だったからといって、未来永劫絶対的だと考えるのは非常に危険なことだ。

ピアソン氏は「かつて安全だったことが危険になっていて、危険だったことが安全になっている」と警告する。この現実を理解し、新たな現実を創造する人こそが、これからの時代の支配者になるということだ。

では、誰が支配者になるのかといえば、「起業家精神に満ち溢れた人たち」だ。

これからの時代、目の前の変化を受け入れ、現実と対峙できる人材、つまり、自分の起業家精神を磨き続けられる人は、ますます有利になる。自分ののれんを掲げ、勝負できる生き方に賭けられるかどうか。これが時代に飲まれて死ぬのか、己で立ち上がり成功するかを左右するカギといえるだろう。

熊沢 里美 ライター

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くまざわ さとみ / Satomi Kumazawa

1987年福岡県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。大学院時代からインタビューを中心に雑誌や書籍のライターとして執筆活動を始める。他にエッセイも手がけ、著書に評論エッセイ『だれも知らないムーミン谷 孤児たちの避難所』(朝日出版社)がある。

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