「アニメキャラの結婚指輪」が人気を呼ぶワケ ケイ・ウノ「オーダーメイドサロン」の最前線

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「これまでは地道にコツコツと、年に1店のペースで店舗を増やしてきましたが、ここ最近は年に2~3店舗と、拡大のスピードが上がってきています。キャラクターのブランドであるユートレジャーにも、ブライダル、ファッションジュエリーに次ぐ第3の柱として期待しています」(伊藤氏)

今後はそれぞれのライセンスの新商品を増やしていくとともに、ライセンス数そのものも、50コンテンツをメドに増やしたいそうだ。

最終的な目標

また、同社の最終的な目標が「オーダーメイド百貨店」となること。つまり、同社のショップに行けば何でもオーダーメイドでそろう、というような店のことだ。現在も、ジュエリーのほかにアパレルや時計、皮小物などを扱い始めているという。またオーダーメイドというと高価な印象があるが、そうしたイメージも払拭したいという。

「アパレルなら3万円台、時計なら2万円台からオーダーメイドできます。金を使った機械式時計も、海外の有名ブランドなら3ケタがスタートラインですが、当社でなら30万~50万円でつくれます」(伊藤氏)

同社が「オーダーメイド百貨店」として成長していくために、現在取り組んでいるのがブランド価値の向上だ。

「まずはブライダルブランドの訴求です。これまでユートレジャーとしてブライダル誌に広告を出したことはないのですが、11月から始めました(笑)。それから、『自分でジュエリー体験』というイベントを開催しています。参加費2万円からで参加できる、自分でオリジナルジュエリーをつくるというイベントです。カップルでペアリングをつくったり、親子で参加して夏休みの自由課題にしたり。自分で触れることで、初めて気づく魅力や価値もあります。消費傾向がモノからコトへ移行している今、ブランド価値を高めていくうえで意義ある取り組みだと感じています」(伊藤氏)

年末に増えるハイジュエリーブランドの広告やCMを見ても明らかなように、プレゼントやジュエリーと言えば、ハレであり、イベントであり、非日常性に属するモノゴトだ。しかし、同社のとくにユートレジャーブランドの商品はそうしたジュエリーとは異なり、もう少し生活に身近な存在だ。自分でジュエリーをつくった思い出、子どもの頃に好きだったキャラクターなど、ユーザー自身の等身大の物語が、商品価値を形成・増幅していくわけである。

価値観が多様化し、それぞれの人間が自分の世界を持つ今の世には、虚飾を追うよりも、こうしたブランドのあり方がふさわしいのかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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