「アニメキャラの結婚指輪」が人気を呼ぶワケ ケイ・ウノ「オーダーメイドサロン」の最前線

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エヴァンゲリオン、名探偵コナン、有頂天家族のジュエリーはシルバーが中心(編集部撮影)

また、「ブライダルジュエリーをぜひキャラクターもので作りたい」と考えるカップルも多いようで、ポケモンジュエリーを買う人の半分はブライダルニーズだそうだ。

たとえば、ポケモンの商品では小さなピカチュウがリングを取り巻いている。オスとメスを見分ける唯一の部分であるしっぽの違いなど、コアなファンにしかわからない特徴も、細かな細工で表現されているそうだ。

「私のような営業をはじめ、デザイナーや職人もアニメやゲームについて日々、勉強しています。デザインの社内コンペを開催するなど、ファンの心をくすぐり、かつ美しいデザインになるよう工夫を凝らしています」(伊藤氏)

オタク心を満足させてくれる

またアニメなどに興味がない人でも、スター・ウォーズのジュエリーがあると聞けば食指が動くかもしれない。こちらについても、映画の内容や設定が随所に盛り込まれ、オタク心を満足させてくれる。たとえば、ライトセーバー型のタイバー(タイピン)は、ライトセーバーの持ち主によって異なるその特徴を、形状や石の色によって忠実に再現している。

ここで気になるのが、ジュエリーとしての価値がどの程度あるのかということ。ライセンス料によって、本来の価値以上に高くなってしまっているようなことはないのだろうか。

ケイ・ウノ営業企画部長の伊藤崇史氏(編集部撮影)

「既製品と同じレベル感の価格でご提供したいという、当社の方針に共感してくれることが契約の条件です。おかげさまで、版権元からお話をいただくことも多いです。月に2~3件は新規の話があります」(伊藤氏)

入手しやすい価格帯であることのほかに、時代を超えて愛されるコンテンツであることも、契約の条件となる。貴金属や貴石を用いたジュエリーであるからには、長く身につけてもらいたいという同社の思いがあるからだ。

20年前にアニメ化されて今も人気のある、美少女戦士セーラームーンなどがその例だ。アニメやゲームには、ストーリーやキャラクター、服装、状況設定など、ファンを惹きつけるものが必ずある。いっぽうで同社には、デザイン力や職人技、また“ユーザーの夢を叶えたい”というそもそもの企業姿勢がある。両者が持つ価値が融合し、購入した人にとってはかけがえのない、愛されるジュエリーを作り出していると言えるだろう。創業以来36年間、急上昇ではないが右肩上がりで地道な運営を行ってきた同社にとって、キャラクターものは新たな、そして大きな柱となりつつある。

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