復活シビック「予想裏切る好発進」が示す意味 「ホンダらしさ」の体現が呼んだ懐古と新鮮

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ホイール・タイヤはセダンが17インチなのに対し、ハッチバックは18インチとなる。しかし乗り心地は悪化しておらず、コーナーではセダンに輪をかけて俊敏なハンドリングが堪能できた。こういうシーンでもMTのダイレクト感は味方になる。

2台のどちらを選ぶかと聞かれたら、セダンの広さやスマートなスタイリングに引かれつつも、個人的にはMTが選べ、走りが楽しめるハッチバックを取るだろう。シビック=ハッチバックというイメージが強いためもある。ユーザーの中にもそういった気持ちを抱く人が多いのではないだろうかと思う。

ただし新型はセダンを日本で生産し、ハッチバックとタイプRは英国から輸入する。セダンが主力と予想したのかもしれないが、現在の状況が続くようなら生産体制の見直しを図る必要があるかもしれない。

一方で現在の状況を維持していくことも必要だ。そのためには定期的なテコ入れも重要になるが、過去に設定していたハイブリッド車はスポーティなイメージに合わないということで考えていないという。

「あの頃のホンダ」を彷彿とさせる新型シビック(筆者撮影)

子離れ層には懐かしさ、若者には新しさをもたらした

新型シビックは21世紀によみがえった「あの頃(1980年代)のホンダ」を彷彿とさせる。それが子離れ層には懐かしさ、若者には新しさをもたらした。であれば欧州向けの1L3気筒ターボ投入はどうだろうか。ホンダには「マン・マキシマム/メカ・ミニマム」という設計思想があり、ワンダーシビックもこの考えから生まれた。

世界生産累計1億台を達成した「スーパーカブ」が2輪におけるホンダの伝道師であるなら、シビックはクルマのホンダの伝道師であろう。ホンダらしさをいちばんピュアに表現できる車種だと個人的には考えている。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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