ブリヂストン、自転車競技でも疾走できるか 東京五輪への車両共同開発決定の舞台裏

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ブリヂストンサイクルが出すスポーツ自転車の最高峰「アンカー」。独自のフレーム作りを追求している(筆者撮影)

「オールジャパン体制で2020年を迎えるチャンスをいただいた」――。

ブリヂストンは10月10日、東京五輪の日本代表自転車競技チームがトラック短距離競技で使用する自転車を日本自転車競技連盟(JCF)と共同開発することを決めた。機材を供給する種目は、「ケイリン」「スプリント」「チームスプリント」の3つ。

グループ会社、ブリヂストンサイクルが開発の中核を担い、ブリヂストン本体の中央研究所の解析技術なども活用し、メダル獲得を目指す。

五輪の自転車競技を管轄するJCFの橋本聖子会長は、冒頭のように、短距離競技用自転車をブリヂストンと共同開発する意義を強調した。橋本会長自身も、国会議員でありながらかつてスピードスケートや自転車競技で五輪に出場した経験がある。

橋本会長は東京五輪の開催された1964年10月生まれ。自身の名前・聖子の由来が聖火であることも紹介しながら、2020年の東京五輪に向けた思いを語った。

返事が遅れた理由

短距離競技用自転車の共同開発で合意したブリヂストンとJCF。写真は左から関口匡一ブリヂストンサイクル社長、西山麻比古同会長、橋本聖子JCF会長、ブノワ・べトゥ短距離ヘッドコーチ、中野浩一選手強化委員長(記者撮影)

ブリヂストンは2014年から五輪の最高位スポンサーに名を連ねている。JCFが「東京での開催ということもあるので、ぜひ日本のトップメーカーであるブリヂストンの技術を結集してほしい」(橋本会長)と要請し続け、ブリヂストンも受諾したことで、今回の合意となった。

ただ、合意には長い時間がかかった。JCFがブリヂストンに話を持ちかけたのは今年の1月。その後、ブリヂストン内でプロダクトや組織体制について検討が重ねられ、3月初旬にようやくまとまった。

ブリヂストンの副社長で、ブリヂストンサイクル会長も兼務する西山麻比古氏は「1964年から自転車競技にチームで参戦している歴史を持っており、グループが持つ総力を結集して開発していく」と語った。

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