福島沿岸で2017年に起きている大転換の実態 若い人が集まり、活気が出てきている

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:そういう意味でいうと、今回烈さんたちがRCFで仕掛けている新しいイノベーション、「新しいサービスを浜通りから各地から発信していこう」という取り組みはなかなか期待できますね。

藤沢:和田さんの「フロンティア」という言葉を使わせてもらって、「フロンティア・ベンチャー・コミュニティ(FVC)」をスタートしてます。この「F」は、「フロンティア」の「F」でもあるけど、「福島」の「F」もかけている。「福島・ベンチャー・コミュニティ」にしなかったのは、「福島」という言葉だとなかなか正確に伝わらないところもあるし、関心を持てる人が広がらないなと思ったからです。「福島」でもあるけれど「フロンティア」なんだと。「フロンティアで何か事を起こして、地域から新しいモデルを作ろう」という思いを持つ人に来てほしいということで「FVC」という取り組みをスタートしています。新しい動きを起こしたい方に全国から集まってもらって。でも、何百人もではないんです。まず10人ですね。10人くらいの人に福島に来てもらって、何か新しいことを起こしてもらうことが今の福島にとって本当に大事なことなので、そういうつながりを僕らとしては作っていきたいですね。

:「FVC」を始めて、実際にどんな取り組みがすでに生まれていて、今後どういう分野が期待できそうですか?

藤沢:ドローンの技術を持っている方が、福島の沿岸の「今」をちゃんと後世に残そうと、ドローンを使った事業を福島沿岸で展開しようとしています。キャンプファイヤーの家入(一真)さんと提携させてもらって、1個1個の動きを全国のみんなにも支えてもらって事業を起こしていく、そういう流れが生まれつつありますね。

:ドローン、面白いですね。ドローンを使ってどんなことが生まれていきそうですか?

藤沢:6年前の事故で、家をそのままに皆さん避難をされていて、その多くは取り壊されることになるのです。ドローンを使って地域全体を撮影することで、「この地域にこの家を自分は構えていたんだ」ということを記録に残せる。多分、福島の災害というと、なんとなく「何人被害があった」という数だけが出てしまうんですけど、「1人1人の生活にちゃんと焦点を合わせて記録する」というのはとっても意味があるなと。今まさに、「戻る方は戻る」「戻れない方は戻らない」と決めるタイミングでもあるので、ここで記録を取って、ほかの地域での生活を始めようとするという人たちにも必要なサービスになっているなと感じましたね。

:そういうのは予想されてたんですか?

藤沢:いや、全然ですね。福島の沿岸に通う人向けにサービスを起こそうとする動きが出てくるのかなと思ったんですけど、避難をしている方向けのサービスになったというのはうれしい誤算ですね。

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