誰でも配達員、「物流版ウーバー」は広がるか バイク便大手が専用アプリを2年かけ開発
深刻化する物流業界の人手不足問題。解決のカギは、シェアリング・エコノミーにあるのかもしれない。個人が空き時間に自転車や原付バイクを使って、他人の荷物を運ぶ。いわば「物流版ウーバー」とも呼べるサービスが、8月下旬から東京23区内で始まった。
バイク便大手のセルートが開発した配送アプリ「DIAq(ダイヤク)」は、荷物の依頼主と配達員をマッチングする。配達員には、軽ワゴン車や中型以上のバイク(排気量125cc超)を使う従来の軽貨物運送業者に加えて、自転車や125cc以下の原付バイクを持つ一般の人も登録可能だ。自転車や原付バイクは、運送事業者としての届け出が不要であるためだ。
一般人がすき間時間で”配達員”に
セルートはバイク便などを使った緊急配送サービスを提供するが、平日の午前中は配送依頼が集中し、集荷まで1時間近くかかることもあるという。物流業界全体が人手不足の中で、「業界に属していない一般人のすき間時間を活用できないか」(同社)と配送アプリ事業を立ち上げた。開発には2年を費やした。配達員には、すでに学生や主婦など1都3県の数百人が登録している。
8月下旬、東京・港区の広告代理店ノースショアの元に、都内の大学に通う中谷優仁さん(24歳)が訪れた。中谷さんは会社の担当者から書類が入った封筒を預かり、メッセンジャーバッグに収納。早速愛用のロードバイクにまたがって、配達に出発した。配送先は1キロメートル先。中谷さんにとっては今回が初めての配達だ。
中谷さんは国家資格試験の勉強に忙しく、決まった時間にアルバイトをすることが難しいという。配送アプリの話を自転車で荷物を配達するメッセンジャーのアルバイトをしている友人から聞き、「思い立った時に趣味の自転車ですぐに仕事ができるのが魅力的」とすぐに登録した。
また、中谷さんが惹かれたのは、料金設定を自由にできる点にある。自転車の場合、3キロメートルまでの配送は税抜きで1000円、10キロメートルまでは1700円という設定の目安となる基本料金があるが、上限や下限はなく、自由に変更できる。
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