アマゾンと急成長する物流ベンチャーの正体 EC危機は商機!マザーズ上場ファイズの勝算
アマゾンを筆頭とするインターネット通販(EC)の荷物の急膨張に宅配業者が悲鳴を上げている。最大手のヤマト運輸はたまらず、受け入れ荷物の抑制を検討するなど、宅配業者とアマゾンの対立構図が浮き彫りになっている。そんな中、アマゾンとのビジネスで急成長を遂げている会社がある。大阪に本社を構え、3月に東証マザーズに上場したファイズだ。
荷物が増え外部委託費が膨張し営業利益が半減したヤマトを尻目に、ファイズは成長街道を邁進中だ。2017年3月期の売上高は52億円と、前期に比べ5割増加し、営業利益にいたっては3.4億円と同3倍超になった。同社の売り上げの約7割をアマゾンとの取引が占めており、まさにアマゾンとともに成長した会社と言える。
東京23区で暮らすアマゾンユーザーには、なじみのある会社かもしれない。ファイズは2年前から23区の一部地域でアマゾンの宅配を担っている。もっともファイズは宅配専門の物流会社ではない。ECの物流を一手に担う3PL(物流の一括受託)企業を標榜している。
人材派遣会社から分社
前身は京都に本社を構える人材派遣のヴィ企画。物流業務をはじめたのは、業務委託として物流センターで商品の仕分けや棚出し、梱包といった庫内作業を始めたことがきっかけだ。
アマゾンとの付き合いが始まったのは2009年のことだ。当時、アマゾンの物流業務を担っていた佐川急便の協力会社として、関西の物流センターの庫内作業を請け負った。その後、2011年からは自社で直接アマゾンの業務を担うようになった。
「アマゾンの成長を目の当たりにして、ビジネスチャンスを感じた。今後は(物流拠点間の)大型輸送や宅配で担い手が必要になるはず。どうせやるならばEC物流の全般をパッケージ化して、物流施設内の作業以外にも広げようと考えた」とファイズの榎屋幸生(えのきや・ゆきお)社長は話す。
そのようなビジョンを掲げ、2013年にヴィ企画から分社化し、物流に特化した会社としてファイズを設立した。そして、メーカーや商社からの商品輸送(上流)、物流拠点間の幹線輸送(中流)、そして各家庭へ荷物を届ける宅配(下流)へと業務を拡大していった。
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