日産「2代目リーフ」は一体、何が進化したか 航続距離400km、デザインも大きく一新

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「エンジン車ゼロ」の時代に先駆ける存在となりそうだ(撮影:大澤 誠)

日産は先月、2007年にNEC(日本電気)およびその子会社とともに設立したバッテリー生産会社AESC(オートモーティブエナジーサプライ株式会社)を投資会社GSRキャピタルに売却したと発表した。

日本の自動車メーカーは日産とNECの関係がそうであるように、特定の電池メーカーと提携を結ぶ例が多かった。これまでのビジネスがそうだったように、自動車メーカーが電池メーカーをサプライヤーのひとつとして考えたのかもしれない。

しかし、車載用バッテリーの分野は急成長が続いており、激しい競争の中で技術が進歩していく、切磋琢磨の状況にある。そのなかで個別の企業を囲い込むことは競争原理が働かなくなるわけであり、性能向上の面では不利に働く。

日産とアライアンスを組むルノーは早くからその点に気づいていたのか、特定の企業と提携を結ぶことはなく、その時点で最良のバッテリーを作る企業と契約する、いわゆる自由競争の仕組みを導入した。現に今年3月のジュネーブショーで航続距離400kmを豪語して話題になった「ZOE」(ゾエ)は、韓国LG製のバッテリーを採用している。

2代目リーフのバッテリーは時期的に見てもAESC製だろうが、今後はルノーのように自由にメーカーを選べるようになるかもしれない。そうなれば現時点では不満のある航続距離の飛躍的向上が見込める可能性も出てくるだろう。

モーターの性能も向上している

さらに2代目リーフはモーターの性能もアップしている。最高出力は初代の80kWから2代目は110kW、最大トルクは同254Nmから同320Nmになった。後者はガソリンエンジンで排気量3000cc級と変わらない。その結果、2代目リーフのゼロ~100km/h加速は初代よりも15%、60~100km/h加速は同30%も向上している。インバーターの刷新も高性能にかなり貢献したという。

現在のEVはバッテリーに蓄える電気は直流、モーターを回す電気は交流なので、間にインバーターをかませて直流を交流に換える必要がある。大都市圏を走る電車と同じ方式であり、インバーターのポテンシャルが性能を左右する。今回の新型リーフもその点に目をつけることで性能アップを実現できたのかもしれない。

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