日産「2代目リーフ」は一体、何が進化したか 航続距離400km、デザインも大きく一新

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ちなみにそのEV走行をコントロールするのは、従来どおり、アクセルとブレーキの2枚のペダルとなっている。

日産は7月のプレスリリースで、新型リーフは「e-Pedal」なるペダルを装備しており、アクセルペダルのみの操作で発進、スピードアップ、スローダウン、停止保持が可能であると表明していた。

このリリースを見て一部のメディアは、ペダルが1つになったのではないかと想像したが、そうではない。現に7月のリリースでも「アクセルペダルのみの操作で」と明記しており、それ以外のペダル、具体的にはブレーキペダルが引き続き存在していることを暗に示唆している。そもそもブレーキペダルをいきなり廃してアクセルペダルに一本化することは、現行の道路交通法が認めないだろう。

フランス人あたりが好みそうな、ちょっとひねった宣伝戦略を用いる日産に対し、ジャーナリズムを含めて実直で正直な日本人が、「だまされた!」と声を上げるのかもしれないが、ノートe-POWERの「まったく新しい電気自動車のカタチ」がそうだったように、これが今の日産らしさなのであり、芸風だとわきまえて臨んでもいいのではないか、と筆者は思っている。

安全装備も充実

さらに新型リーフは、ミニバン「セレナ」やエクストレイルに続いて、「プロパイロット」と呼ばれる運転支援システムを、プロパイロット パーキングと名付けた駐車支援システムとともに装備したことも特筆される。

プロパイロットは高速道路の単一車線において、時速30~100kmの範囲内で前方を走行する車との車間距離を保つ。具体的にはフロントウインドーの上部に設置した単眼カメラと画像処理ソフトで道路上の白線と前方の車両を認識し、ハンドル、アクセル、ブレーキを自動制御する。

ちなみに後者については、ステアリング操作だけではなくアクセルやブレーキ・ギアチェンジまで自動でやってのけるのは日本車では初であり(輸入車ではテスラなどが実用済み)、一歩進んだシステムとして評価できる。プロパイロットも相応の進化を果たしてくるだろう。

旧型リーフの販売成績がイマイチだったのは、「EVは使えない」というイメージ的な部分が大きかったのではないかという感想を筆者は抱いている。ただ、昨今は逆に、一部の国でエンジン車禁止のアナウンスがなされるなど、世界の流れはEV推進に動きつつある。利用者がその流れをどれだけ真剣に考えるか。これが新型リーフの販売を左右するかもしれない。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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