機関車より貴重?SL列車の「客車」が足りない 旧国鉄車両は老朽化、新車投入は高コスト

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東武鉄道の「SL大樹」に使用されるC11形蒸気機関車と14系客車(撮影:尾形文繁)

8月10日に東武鉄道のSL列車「SL大樹」が運行を開始し、話題となった。この列車に用いられるC11形蒸気機関車はJR北海道から借り受けたものである。

それに対し牽引される元国鉄の14系客車は、いわゆる「ブルートレイン」と同じ塗色で新しくは見えるが、製造は1972年だ。C11よりは若いが、車齢は45年にも及ぶ。一般的に鉄道車両の寿命は30~50年と言われているから、実は「老い先短い」車両でもある。

SL保存運転の鍵は客車?

SL列車の運行に際し譲り受けた14系は、国鉄からJR東海に承継され、さらにJR四国へ移り団体列車として走っていたもの。2015年に除籍されて保存車となったが、今回、東武へ移って、可能な限りデビュー当時の姿に修復。営業運転に使用できるよう復活させた。東武は同じくJR四国から12系客車(これも団体用だった車両)、JR北海道からも14系客車を譲り受けており、今後の使途が注目される。

2015年9月に配信した私の記事「SLの運行には、手間もカネもこんなにかかる」では、蒸気機関車の動態保存運行には、法定検査のための施設や費用が不可欠であることを紹介した。現在も観光客誘致の起爆剤としてSL列車の運行を考えている地域は少なからずあると聞いているが、計画を進展させることは容易ではなく、技術の伝承や、大きな金銭的な負担も必要であると、この記事では述べた。

それに加えて問題になりそうなのが、客車の手当てである。

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