堤大介氏が高校生に説く「why?」の重要性

世界的イラストレーターが半生を語った

アニメーターの堤大介氏。東北から米国を訪問した100人の高校生を前に、情熱を傾ける力と、WhatとWhyをつねに考え続けることを訴えた(筆者撮影)

「皆さんは自分のことをクリエーティブだと思いますか?」

米国の最高学府のひとつ、カリフォルニア大学バークレー校の講堂で、アニメーターの堤大介氏が100人の日本人高校生に向かって問いかけた最初の質問だった。Yesと答えたのはたった8%。米国やドイツの5分の1以下であったことに、壇上の堤氏はショックを受けたと話す。

問いかけた相手は、東北の被災地域から米国カリフォルニア州バークレーでの3週間のリーダーシップ育成プログラムに参加した高校生。ソフトバンクが2012年から毎年行っている「TOMODACHIプロジェクト」の6期生だった。

堤氏は、アニメーション制作という仕事柄、創造性を追究する毎日を過ごしている。「絵を描くのが好きだった」というが、もともと才能があったわけではなかったと振り返る。ただ、高校時代まで培ってきた「情熱の傾け方」が役立った。

最初から絵がうまいわけではなかった

堤氏は、ニューヨークでアートを学び、米国のアニメーションスタジオを経て、その最高峰となるピクサーでアートディレクターを務めてきた。映画『トイストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』では、映像作りに最も重要とも言われるライティングを中心に、作品の世界観を作り上げる役割を担った。

その間に、1冊のスケッチブックを世界中のアーティストに手渡しで絵を描いてもらう「スケッチトラベル」という4年半にも及ぶ企画を発案したり、創造力を発揮する日々を過ごしてきた。

ピクサーにいながら同僚と自主制作した作品『ダム・キーパー』が、2015年のアカデミー賞にノミネートされ、現在は「トンコハウス」というスタジオで活動している。

堤氏は、野球少年として高校時代までを過ごし、渡米してニューヨークで絵画と巡り合ってSchool of Visual Artsへ進学。そしてLucas Learning、Blue Sky Studioなどで『アイスエイジ』や『ロボッツ』といったアニメーション映画のコンセプトアートを担当する華々しいキャリアをたどった。

ただ本人は、「正直、逃げたようなものだった」と振り返る。

次ページやりたいことがなくなり、先が見えなくなっていた
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