プロ野球交流戦「廃止論」が毎年浮上する事情

観客動員増でも「おいしくない」球団もある

セ・パ交流戦による観客動員数増があっても、どれだけの経営メリットがあるかは、本拠地球場との関係などで球団によってさまざまに異なる。その温度差が「交流戦廃止論」の一因だとも考えられる( 写真:kazukiatuko / PIXTA)

今年のプロ野球もセ・パ交流戦、オールスター戦を終えて、いよいよ後半の佳境に入っている。その交流戦に関して、今年もメディアで目にしたのが「交流戦廃止論」「交流戦不要論」である。

もともと交流戦は人気がないパ・リーグ球団の救済のためにセ・リーグが"お付き合い"で始めたにすぎないものであり、パ・リーグの球団改革が一定の成果を上げた今となっては、廃止すべきという主張だ。セ・リーグ球団にとって交流戦は、経営の"お荷物"だという話だが、本当にそうなのか。

そこで筆者は前回の記事(プロ野球交流戦は球団経営の「お荷物」なのか)で、1試合当たりの平均観客動員数を、交流戦とリーグ戦とで比較してみた。その結果、今年の交流戦では12球団中8球団において、交流戦のほうがリーグ戦よりも集客力が高いことが判明。昨年度までの5年間の平均でも12球団中7球団で、交流戦のほうが観客が多いことがわかった。

観客動員数こそが、球団経営の根幹をなすもののはずだ。主催ゲームでのチケット売り上げとスポンサー収入が球団の2大収益であり、ここに放映権料やグッズ売り上げなどが加わる。さらに、本拠地の球場が球団の自前であれば、飲食収入や、球場の広告看板収入が加わる。

チケット売り上げと飲食収入に関しては、観客増がダイレクトに収入を押し上げ、スポンサー収入や球場の広告看板では即効性はないものの、翌シーズンの広告単価アップなどに寄与する。それなのに、なぜ交流戦廃止論が出るのか。

観客動員数増による経済効果は、各球団で異なる

交流戦廃止論の妥当性をさらに掘り下げて考えるために、各球団ごとに、観客動員数増がどう影響するかを検証してみたい。「各球団」といったのは、12球団はそれぞれ、球団と球場、球団と親会社の関係が多種多様で、観客動員数がもたらす効果もさまざまだからだ。

まず、前提として観客動員数の定義を確認しておこう。現在、日々公表されている観客動員数は、厳密な意味での「実数」、つまり"実際に球場内に入場した人数"ではない。その実体は「実数に近い」人数である。

このことが、交流戦中の観客動員数増が、ストレートに球団経営への収益貢献に必ずしも結び付かない原因になっている可能性は否定できない。

観客動員数の具体的な定義は「有料発券枚数」+「無料配布分の着券枚数(実際に来場した人のチケット枚数)」である。したがって、年間指定席、一般席共に、売れた分は実際に入場したかどうかに関係なくカウントされる。これに、スポンサーなどに配布している無料の招待券のうち、実際にこれを使って入場した数を加えるという数え方になっているのだ。

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