「残念なエントリーシート」に欠けている視点 自分の歴史を書くだけでは説得力がない
社会の扉を開くカギを握るのがエントリーシート(ES)です。これを突破しないと面接に進めません。就職活動を前にして、何をどう書けばいいのか、そもそも自分は何をしたいのだろう、と悩むことが多いのではないでしょうか。文章を書くことに長けている人でも自分を表現するとは難しいものです。ましてや、SNSなどで仲間内の短い文章に慣れ、大学のリポートも資料のコピペでしのいできた人には、至難の業ではないでしょうか。
慌てて、「ESの書き方」というマニュアル書を買ってみても、そう簡単に書けるわけもありません。なぜならそこには、書き方のテクニックが示されているだけで、自分と向き合うという本質の部分にはあまり触れられていないからです。
ヒストリーをストーリーに
ESと単なる履歴書とは違います。ESは、あなたの二十数年間の歴史(ヒストリー)とこれからを、物語(ストーリー)として表現するものです。これを意識すれば、ESの書き方が劇的に変わるのではないでしょうか。ESを「書く」ということは、企業・採用担当者に「読んでもらう」ということです。
ESは書いて終わりではありません。これを基に面接で質問されるのです。その質問を自分に引き付けられるようにしておかなくてはなりません。つまり、あなたのストーリーに共感し、面接であなたをより深く知ってもらうための「プレゼン資料」だということを理解する必要があります。
私は長く朝日新聞の校閲センターに所属していました。校閲部門は一般記者とは別に、毎年専門記者を採用しています。その面接にも10年ほど携わってきました。また、早稲田大学生協主催のES個人講座を担当したこともあります。
企業の採用担当者は、あなたがどんな思いを抱いて会社に入ろうと思っているのかを、1枚のESから酌み取ろうとします。あなたの人柄や可能性をできるだけ詳しく知りたいからです。そのため、各企業はさまざまな角度からアプローチします。OB・OG訪問をしたとしても、採用担当者に話を聞いてもらうための最初のカギはESが握っているといっても過言ではありません。
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