「こまち」はコメじゃない!人名の列車名10選 ヨーロッパには多いが日本は意外に少ない

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小野小町が列車名の由来という、秋田新幹線「こまち」のE6系(撮影:梅谷秀司)

日本の鉄道の列車名というと、速さの象徴である鳥の名前「はやぶさ」「つばめ」「かもめ」、抽象的な名称である「のぞみ」「ひかり」「こだま」、旧国名である「出雲」「しなの」「ひだ」などがあるが、欧米の列車名のように人名を用いたものは珍しい。今回は、そうした人名に由来する列車愛称名を何とか探し出してリストアップしてみた。

明治の偉人をたたえる列車

1)「いさぶろう・しんぺい」<山縣伊三郎・後藤新平>
(JR九州 肥薩線)
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「人名列車」として真っ先に思い浮かべる人が多いのが、JR九州の観光列車「いさぶろう」「しんぺい」であろう。肥薩線の山岳区間である人吉―吉松間を途中にある3つの駅すべてに停車しながら、ループ線、スイッチバック、そして日本3大車窓のひとつである矢岳越えの絶景を体験しつつ走り、絶大な人気を誇る列車となっている。

矢岳駅に停車中の「しんぺい」(筆者撮影)

かつては難所だった矢岳第一トンネルに人吉側からさしかかるとき、入り口の上に掲げられた扁額には、トンネル完成当時の逓信大臣・山縣伊三郎による揮毫(きごう)で「天險若夷」、吉松側の扁額は、当時の鉄道院総裁・後藤新平の手による「引重致遠」の文字が読み取れる。両者合わせて「天下の難所を平地であるかのようにしたおかげで、重い物を遠くへ運ぶことができる」という肥薩線(当時は重要な幹線であった)完成へのはなむけの言葉なのだ。

これにちなんで、人吉発の観光列車を「いさぶろう」、吉松発の列車を「しんぺい」と命名したのである。

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