「こまち」はコメじゃない!人名の列車名10選 ヨーロッパには多いが日本は意外に少ない

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2)「しんたろう号・やたろう号」<中岡慎太郎・岩崎弥太郎>
(土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線)
ごめん・なはり線のオープンデッキ車両から眺めた太平洋(筆者撮影)

「いさぶろう」「しんぺい」のように名前をセットにした列車が、高知県の土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線を走っている(午前の列車は後免―高知間のJR土讃線に乗り入れる)。マンションのベランダを思わせるオープンデッキが海側に通路のように設置されたユニークな車両を使った観光列車だ。各駅に停車する普通列車としての運行のため、乗車券のみで利用でき、追加料金も予約も不要である。

「やたろう」とは沿線の安芸市出身の実業家で三菱グループの創業者岩崎弥太郎のこと、「しんたろう」とは終点奈半利駅から山間部に入った北川村出身の幕末の志士中岡慎太郎のことである。

「やたろう1号」は安芸発高知行き、「しんたろう2号」は高知発奈半利行き、「しんたろう1号」は奈半利発後免行き、「やたろう2号」は後免発安芸行きとして運転される。

3)特急「かいおう」<魁皇(元大関)>
(JR篠栗線・筑豊本線、博多―直方)

存命中の人物、元大関で直方出身の力士魁皇を愛称としたユニークな列車が特急「かいおう」である。博多からJR篠栗線、筑豊本線を経由して直方まで、朝、直方発博多行きが2本、夜、博多発直方行きが2本という「通勤特急」だ。「かいおう」以外、篠栗線、筑豊本線を走る優等列車はなく、貴重な存在である。魁皇関は現役を引退してしまったけれど、特急「かいおう」は今も現役だ。

おコメの名前じゃありません!

4)新幹線「こまち」<小野小町>
(秋田新幹線)
「こまち」E6系のシンボルマーク(筆者撮影)

秋田新幹線の列車名として知られる「こまち」。最新型の車両E6系のサイドに描かれた女性のシルエットでもわかるとおり、秋田県湯沢市出身とされる(異説多数あり)小野小町に由来する列車名である。すっかり定着してしまい、おコメの「あきたこまち」のことかと思っている人もいるようで、人名とは意識されていないかもしれない。

5)快速「アテルイ」<阿弖流為>
(東北本線、水沢―盛岡)

アテルイ(阿弖流為)というのは、平安時代の初期、桓武天皇の命で東北制圧に乗り出した坂上田村麻呂と戦って敗れた英雄である。長らく悪者扱いされてきたが、現在では名誉回復され、地元の英雄として顕彰されるに至っている。

その一環として、東北本線下りの快速列車1本(朝6:55水沢発、北上、花巻、矢幅、仙北町停車の盛岡行き)に「アテルイ」の愛称が付けられている。もっとも、時刻表と駅の発車案内板には「快速アテルイ」の表示があるものの、車両(オールロングシートの701系電車)には「快速盛岡行き」としか出ていない。なお、上り列車に「アテルイ」号は存在しない。

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