100km「ウルトラマラソン」が爆発人気の理由 エントリー開始たった30分で定員に到達!

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しかも、出場するための費用も高額だ。大会のエントリー費用は100kmの部が1万7000円。オフィシャルツアーで東京から現地に向かうとすると、9万円前後がかかる。レースに参加するには10万円以上の予算が必要で、ここで100kmを走りたいという人がたくさんいるのだ。

筆者はウルトラマラソンを何度も取材しているが、出場するランナーの意識がこの10年ちょっとで大きく変わったと感じている。知らない人は、ゴリゴリの猛者が走っていると思うかもしれない。昔はストイックなランナーが多かった印象だが、近年はかなりマイルドになってきている。いたって普通の方々が参加しているのだ。なかにはメタボぎみのおじさんもいるし、先日取材した大会には、娘の影響で48歳からランニングを始めて、母娘(51歳と24歳)で100kmに挑戦した方々もいた。仮装で走る人や、1度もフルを走ったことがないのに100kmレースに出場する人も。ウルトラはカジュアル化しつつあるのだ。

それはランニング人気の2次現象ともいえるだろう。全国に1万人以上が参加する都市マラソンが次々と創設されたこともあり、日本のマラソン人口は爆発的に増加した。『ランナーズ』を発行しているアールビーズの調査(日本陸連公認コースを使用する対象大会の完走記録データを集計)によると、フル完走者は東京マラソンが創設される前年(2005年)が8万2930人で、その10年後の2015年には35万4072人まで膨れ上がっている。

ウルトラ完走者のデータはないものの、フル人口に比例する形でこちらも増加中だ。現在はサロマ湖以外にも、四万十ウルトラマラソン、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン、星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソンなど2000人以上の参加者を集めている大会がいくつもある。

ウルトラが活発化している背景には、フル完走者の増加は無関係ではないだろう。

ウルトラはフルよりもハードじゃない?

人はなぜ100kmも走るのか? ウルトラにはフルとはまったく違う魅力が詰まっていることが大きな理由だ。フルの場合、最初は「完走」が目標だとしても、気持ちは徐々に「タイム」へシフトしていく。ランニングを始めて数年間は右肩上がりでタイムは伸びる傾向にあるものの、ある程度のところで頭打ちになってくる。そうなると、走るのが面白くないなと感じてしまう。

そんなタイミングでウルトラに新たな“希望”を見いだすランナーが出てくるのだ。ちょっと意外かもしれないが、ウルトラはフルでタイムを目指して走るよりも、少しのんびりと取り組むことができるスポーツで、見方によってはフルよりも攻略が難しいとも言い切れない。

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