音楽教室対JASRAC、終わらぬ「著作権バトル」 ヤマハ・河合は一歩も譲らず対決姿勢
「文化庁は本日提出した署名を重く受け止め、JASRACによる音楽教室に対する使用料徴収に強く反対している国民が、いかに多くいるかということを理解していただきたい」
ヤマハ音楽振興会や楽器大手の河合楽器製作所を中心とする「音楽教育を守る会」は7月4日、演奏著作権料徴収に反対する署名を文化庁長官に提出した。その数、55万7000筆。段ボールにして約50箱に上る。守る会会長の三木渡・ヤマハ音楽振興会常務理事は、語気を強めて語った。
大規模な署名活動に発展
署名活動はJASRAC(日本音楽著作権協会)が音楽教室での演奏において著作権料を徴収する方針を示したことを受けたもの。守る会理事の日下昌和・河合楽器専務は「今回のJASRACの申し入れは、音楽文化の停滞や音楽人口の減少につながりかねないものだと危惧している」と話し、改めてJASRACに対する不信感をあらわにした。
事の発端は、2017年2月。JASRACが音楽教室からの演奏著作権料を徴収すると発表した。「録音物の再生演奏は(著作権料を払わずに)無料で利用できる」という規則が2000年に著作権法から撤廃され、2003年頃からJASRACはヤマハなど音楽教室側に交渉を持ち掛けた。ただ音楽教室側はそれを拒んで10年以上が経過。その間にJASRACはフィットネスクラブやカルチャーセンターを著作権料の徴収対象に広げ、2017年に入り、音楽教室からの徴収に向け動きを加速した。
主な争点は、音楽教室での教師の演奏が、著作権法に書かれている「聞かせることを目的として」という部分に当てはまるかどうか。JASRACの側は「手本だから演奏は自由とは書かれていない」と考えている。
今回の文化庁への署名提出は、守る会として具体的に議論を進展させるというよりも、立場を表明するという意味を持つ。その背景には、守る会側が置かれている難しい状況がある。
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