セイコーの時計から「SEIKO」ロゴが消えた日 高級ブランドの育成に本腰、スイス勢に対抗
時計メーカー大手・セイコーウォッチの最高級ブランド「グランドセイコー」。日本では1960年から展開されており、価格は安くて20万円程度、高級品では300万円程度にもなる。
この3月、グランドセイコーはブランド戦略を大きく転換した。セイコーの時計には必ず刻印されている「SEIKO」のロゴが、文字盤から消えたのだ。
「グランドセイコーは、セイコーとは異なる別の高みを目指す」。セイコーウォッチの服部真二・現会長は、スイスで開かれた時計展示会でそう宣言した。新製品は3月24日から、ロゴを切り替えた現行製品は5月3日から店頭に並んでいる。
国内は「おじさん」、海外は「中価格帯」
ブランド改革はまず国内から始まっていた。以前から高級時計として存在感はあったものの、「おじさんの時計」というイメージが強かった。そのため近年、顧客の幅を広めてきた。
2010年以降、入門品として20万円台という価格帯の時計販売に注力し始めた。セイコーの広告塔としてダルビッシュ有選手や大谷翔平選手といった、若い世代に人気の野球選手を起用するなどして、認知度向上に努めた。
その結果、ここ4~5年はグランドセイコーの購買層のうち30~60代がそれぞれ20%ずつ、20代も10%以上を占めるようになった。
一方の海外。セイコーブランドは中価格帯のイメージが強かった。そこで、2010年からグランドセイコーの海外展開を本格的に開始。「SEIKO」ロゴでセイコー色を維持しながら高級感を打ち出し、伝統とブランド力のあるスイス時計に伍していこうとしていた。
それまで海外は数カ国のみの販売だったが、現在は30カ国以上にまで広がった。2009年から2015年の間に、グランドセイコーの売上高は4倍に膨らんだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら