福島県は「再生可能エネルギー」王国を目指す 原発事故を「水力発電」で乗り越えられるか
既存ダム活用で2兆~3兆円の電力が新たに生み出せる
福島県での取り組みをご紹介する前に、既存ダムの活用でなぜ新たな電力がつくりだせるのか簡単にご説明します。
私の提案は主に3つです。
国交省が所管する日本の大きなダムは治水と利水が目的の多目的ダムなのですが、発電している所は少ないのです。県が管轄する補助ダムも発電していないところが多くあります。これらを含め、すべてのダムに発電機をつけて発電しようというのが第1点です。
2点目はダムの運用変更です。1957年に制定された特定多目的ダム法では、治水と利水を目的にしました。この「治水」のため、6~9月の約4カ月間は豪雨に備えて水位を強引に下げています。それはあまりにもったいない話です。3分の1くらい上げて貯めてもいいのではないかということです。それだけでも発電能力は急激に上がります。
今は、特定多目的ダム法が制定された60年前と違って、衛星などによる気象観測が進み、1週間前から台風の進路がわかります。台風が来ると予測されるときには1週間かけて必要な量をゆっくり放流し、来なければ貯めておけばいいのです。ダム湖の上のほうに10メートル高く貯めれば、上に行くほど水面が広がっていますから、それだけで約100メートルのダムを新たに造るのと同じくらい効果があります。
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