福島県は「再生可能エネルギー」王国を目指す 原発事故を「水力発電」で乗り越えられるか

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3点目は、既存ダムを10メートルくらいカサ上げすることです。技術的には簡単で、今あちこちでやっています。ダムにコンクリートを張りつけて高くするやり方や、青森県の津軽ダムのように既存ダムの前にもっと高いダムを造る、という方法もあります。ダムの事業費のうち3分の2から4分の3は水没地の住民への補償ですが、既存ダムは基本的には補償は終わっているので、カサ上げはそれほど高くはつきません。

主にこの3点による既存ダムの活用により、低コストで莫大な新規の電力供給が可能になります。

このうちの2点、国直轄の多目的ダムと県が管轄する補助ダムすべてに発電機をつけ、運用変更することだけでも、仮定の計算ですが全国で2兆~3兆円分の電力を増やすことができると思います。現在、日本の総電力供給量に対する水力発電の割合は9%ですが、20%以上に高めることも可能なわけです。

これは決して小さな数字ではありません。

福島で発足した「福島水力発電促進会議」

以上のような私の提案をまとめた『水力発電が日本を救う』は、昨年8月の発売以来、各方面で反響を呼び、4刷まで版を重ねています。

政官界でも関心を持っていただけたようで、以下の会などで『水力発電が日本を救う』のお話をさせていただきました。

・公明党 総合エネルギー対策本部
・国交省、経産省、農水省の課長級による「水力発電の促進に関する意見交換会」
・民進党 エネルギー環境調査会
・超党派 水力発電に関する議員連盟
・自民党 国土強靭化推進本部
・自民党 水戦略特命委員会

 

そして、福島ですが、ご存じのように原発事故を経験しているだけに、エネルギー政策に関心が極めて高く、2013年に「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」を更新して、2040年には、需要量の100%以上の再生可能エネルギーを生み出すことを目標にしています。

2017年2月以降、何回か福島の有志の方々からお招きいただいて、既存ダムの活用による水力発電の可能性についてお話をさせていただきました。

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