GDPギャップと物価のつながりはどの程度か GDPギャップのわずかな違いには意味がない

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「需給ギャップが改善している割には、物価上昇率がなかなか高まらない」と黒田東彦・日本銀行総裁(写真:ロイター/アフロ)

2017年1~3月期GDP(国内総生産)2次速報後に内閣府が発表したGDPギャップ(需給ギャップ)はプラス0.1%で、2016年10~12月期に続いて2四半期連続でプラスとなった。

GDPギャップは、実際のGDPが潜在GDPからどれだけ乖離しているかを示しているもので、需給ギャップとも呼ばれる。GDPギャップがプラスということは、GDPの水準が潜在GDPよりも大きいということだ。潜在GDPは日本経済の生産力を表しており、実際の毎四半期のGDPは需要で決まるので、GDPギャップは経済全体の需要と供給の関係を表していると考えられる。

GDPギャップと物価の関係

経済学の基本は価格が需要と供給の関係で決まるということだ。教科書は、「価格は需給で決まり、需要超過であれば価格が上昇し、供給超過ならば価格が下落する」と教える。デフレ脱却との関係でGDPギャップが注目されるのは、GDPギャップがマイナスであれば、供給力が実際の需要に対して過剰ということなので、物価が下落し、逆にGDPギャップがプラスであれば、需要が供給力に対して超過しているため、物価が上昇すると考えられるからだ。

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黒田東彦日本銀行総裁は6月16日の金融政策決定会合後の記者会見で、「先行きについては、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます」と述べている。

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