「ボーナスを貯金しない人」に欠けている視点 月々の赤字補塡で終わっていませんか?
いよいよ夏のボーナスの季節がやってきますね。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが4月に発表した「2017年夏のボーナス見通し」によると、民間企業(事業規模5人以上)のボーナスは2年連続で伸び、今年の1人当たりの平均支給額は36万8272円(前年比0.9%増)となる見通しです。
ボーナスの使い道は人それぞれだと思いますが、「貯金」に回すという人も少なくないでしょう。実際、日本人は世界屈指の「貯金好き」で、2017年3月末時点の銀行や信用金庫などの預金残高は1053兆円と、過去最高に。また、5月に総務省が発表した「家計調査報告」によると、2人以上の世帯の平均的な貯蓄額は1820万円に上るということです。
現役世代の貯蓄額は年収の約2倍
一方、平均年収は614万円なので、ざっくり年収の3倍貯蓄があるという計算です。筆者もよく、「どれくらい貯蓄があるといいか」と質問されますが、この問いへの模範回答は「年収の3倍」だと思っています。
ただし、上記の貯蓄額はまだ働いている現役世代と、すでに退職しているリタイア世代の貯蓄額の平均であり、現役世代にとっては「え!」という感覚もあるのでは。そこで、平均貯蓄額を現役世代とリタイア世代に分けると、それぞれ1299万円と、2385万円となります(ちなみに、リタイア世代で貯蓄額が2500万円以上ある世帯は全体の3分の1に上ります)。つまり、平均的な現役世代では年収の約2倍の貯蓄があるということになります。
筆者の感覚でも、子どもがいても共働き世帯の場合は、1000万円以上貯蓄されているケースは少なくありません。一方で夫が働き、妻が専業主婦という家庭の場合は、子育て期間中に貯蓄額を増やすことは容易ではないでしょう。また、この調査では、貯蓄が100万円に満たない層も、全体の10.5%(現役世代では12.8%、リタイア世代では7.4%)いることがわかります。
一般的には、リタイアするまでに3000万円貯金するのが理想といわれています。もちろん、現在あなたが30歳の場合、30年後の世界を今と同じ前提で考えるのは難しいともいえます。一方で、今は「人生100年時代」といわれており、自分が長生きする「リスク」も考えなくてはいけません。
3000万円が本当に必要かどうかは別の機会に書きたいと思いますが、環境が今と大きく変わらないとして、今より生活水準を大きく下げず暮らすにはある程度の規模の貯蓄はやはり必要です。毎月貯金がさっぱりできていない、という人は、おカネの使い方を見直す必要がありますし、ボーナスが貯蓄に回らないどころか、毎月の赤字の補塡に使われているという人は家計の見直しが急務となります。
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