設備投資に頼った成長戦略は、最悪の選択 増税による景気悪化に備え、設備投資減税をしても効果なし

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「設備投資による成長戦略」は、成熟国家・日本では無理筋だ(撮影:梅谷 秀司)

成長戦略では成長できない、という話については、いろんなところで述べてきたし、拙著「成長戦略のまやかし」でも詳しく述べた。今回のコラムでは、成長戦略の一番のわな、設備投資促進政策について議論したいと思う。

設備投資促進は、最悪の対応

8月12日に、内閣府から2013年4~6月期のGDP速報値が発表された。平均的な予想を下回ったものの、来年度からの消費税引き上げには問題ないレベルと判断された模様だ。そして、消費税増税による、景気の悪化に備えて、設備投資減税を本格的に検討開始したという報道があった。

これは最悪の対応だ。

安倍政権の成長戦略の目玉の一つが、設備投資を促す数々の政策だが、これは、安倍政権に限ったことではなく、日本のエコノミストが大好きな政策が、設備投資促進だ。

しかし、日本企業の設備投資は過大である。あらゆる財務データがこれを示している。対売上比率も高いし、日本企業のROAが極めて低いのも、過剰な設備投資で、資産が肥大化しているからである。この結果、1990年代の失われた10年はリストラの10年で、過剰債務と過剰雇用の整理が目立ったが、同時に過剰設備の整理も行われたのだ。

不思議なことに、バブル期の過大な負債、過剰な株式(転換社債)発行へは強い反省が見られ、異常なまでに負債を縮小したり、転換社債のトラウマは残ったりしている。さらに、人的整理のリストラは、切られる側だけでなく、経営者側にとっても最大の頭痛の種だったし、そのトラウマで、2000年からの10年は、新規雇用に及び腰となり、雇用が失われた10年となった。

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