「フィンテックなのに地銀店舗が増加」のナゾ 来店客は激減、地方銀行はどう生き残るのか

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過去数年で地方銀行の再編は本格化した。これで重複店舗を閉鎖して効率化を図る……はずだった。

たしかに地銀の再編が大きく進んだ九州の地銀では店舗数が減少した。しかし実は、それ以外の地域では、地銀の店舗数はむしろ増えている。地元県内の店舗は減少しているのだが、県外店舗がこれを上回る勢いで増加しているためだ。

この10年間で各地銀は本店所在地のある県内の店舗を合計123店舗減らした一方、県外では145店舗を増やしている。差し引き22店舗の増加である (2006年3月~2016年3月)。

地域別では、人口が増加している関東では地元店舗も県外店舗も増加しているが、再編が進んでいる九州ではいずれも減少している。それ以外のすべての地域では、県内店舗が減少する一方で県外店舗は増加した。特に近畿と東海地区では、県外店舗がそれぞれ66店舗、52店舗増加した。貸出残高も、県内の伸びが22%程度だったのに対し、県外は55%も増加した。

これだけ地元と地元以外の店舗戦略に違いが出ているのはなぜなのか。

県内ではフィンテックにより来店客数が減少

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地元店舗の圧縮は来店数の減少に沿った動きだ。例えば、九州のふくおかフィナンシャルグループ(FG)は、銀行窓口来客数が過去10年で30%減少したと説明している。同様に、京都銀行では、2年間で約6%減少した。

地方の生産年齢人口は10年間で1.8%減少しているが(東京・愛知・大阪を除く)、銀行の来店客数はこれよりはるかに早いペースで減少している。

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