前川vs官邸、異例バトルの知られざる舞台裏 背景には「文部科学省利権」の争奪戦がある

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夕刊フジは「前川氏が行った出会い系バーを警察が内偵しており、そこで前川氏が利用していたことが発覚した」と報じている。つまり「偶然説」だ。一方では、官邸が警察に前川氏の行動確認をとらせていたとの話もある。前川氏を叱責した杉田氏は警察庁出身だ。

偶然なのか、あるいは内偵していたのか。どちらであるかは分からないが、もし前川氏が官邸から狙われていたとしたら、その理由は何なのだろうか。

実は官邸と前川氏の間には、かねてから複数の確執があった。

新国立競技場をめぐる確執

そのひとつが新国立競技場問題だ。東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となるべき新国立競技場は、解体工事の段階でトラブルが発生。加えて聖火台が見落とされた設計ミスや当初の1300億円から大きく上回ってしまった建設費用など、文科省の力不足による混乱が明らかにされた。

加計学園をめぐる問題に関する記者会見の席上、汗を拭う前川喜平・前文部科学事務次官=25日、東京都千代田区(写真:時事)

前川氏は新国立競技場整備計画が白紙撤回された後、文科審議官として新国立競技場整備計画経緯検証委員会の事務局長を務めている。しかし官邸は新国立競技場の管轄を文科省から取り上げ、内閣官房に「再検討推進室」を設置。これを仕切るのは国土交通省出身の和泉洋人首相補佐官だ。

国交省は公明党が大臣ポストを持っており、和泉氏は公明党との関係が深い。とりわけ住宅局長時代に冬柴鐵三国交相に仕えたことは、そのきっかけとなったと言われている。

さらに和泉氏は野田佳彦政権時に内閣官房参与(国家戦略担当)を務めた後、安倍晋三政権でも政府に残り、首相補佐官に昇格した。その辣腕で、新国立競技場を文科省から取り上げたことになる。

官邸と前川氏には、もうひとつの確執があった。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉問題だ。

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