大学ランキング首位の東大に「足りないもの」 高校教師と人事担当者の評価が順位を左右
大学格付けの権威が、日本国内の大学に特化したランキングを発表した。
「世界大学ランキング」をで知られる教育専門誌、英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(以下THE)は3月30日、日本の大学を対象とした日本版大学ランキングを公表した。提携するベネッセグループとともに調査を実施。THE誌が国別ランキングを作成するのは、昨年発表の米国に続いて2カ国目となる。
世界大学ランキングでは、評価指標において研究者1人あたりの研究費収入、論文の被引用数、国際共著論文の数など、大学院レベルの研究に重きが置かれている。ただ、世界版で上位400校に入っている日本の大学はわずか8校。言語や地理的な壁が大きく国際性では不利となる。そのため今回の日本版では「グローバルの基準でカバーできていない、日本ならではの教育力や学生のパフォーマンスを重視した」(THE誌のフィル・ベイティ編集長)。国内の大学のうち、435校が本ランキングの調査に協力した。
4つの指標で日本の大学を格付け
トップに立ったのは、東京大学だ。世界ランキングでも日本トップだった。もはや不動の地位というべきか。続いて2位が東北大学、3位は京都大学だ。世界版では京大が東北大を上回っていたため、東北大の逆転となっている。
4~9位は、名古屋大学、東京工業大学、大阪大学、九州大学、北海道大学、筑波大学。9位までをすべて国立大学が占める結果となった。その後の10位、11位には私立大学の雄、早稲田大学、慶応義塾大学がそれぞれランクインした。得点を見ると、かなりの接戦になっている。
日本版ランキングの指標は、大きく4つに分かれる。1つ目が「教育リソース」(総評価のうち38%)。学生一人あたりの資金・教員数、教員一人あたりの論文数・被引用回数、大学合格者の学力などだ。2つ目が「教育満足度」(同26%)。これは高校教員を対象に実施した「大学に関する印象調査アンケート」における、グローバル人材育成や入学後の能力伸長に関する得票数が基準だ。
3つ目が「教育成果」(同20%)。企業の人事担当者へのイメージ調査、高等教育の研究者への評判調査での得票数だ。4つ目が「国際性」(同16%)。外国人学生・教員の比率に基づくものだ。
上位10大学の各指標の得点を見ると、教育リソースと国際性は高くない。一方で教育満足度や教育成果は満点に近い水準である。指標の比重を考えれば、高校教員や企業の人事担当者からの評価が高いと順位は押し上げられやすいといえる。
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