2017年度大学入試、文系人気が復活する理由 就活の「売り手市場」で理系人気が低迷

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今年も大学入試の季節がやってきた。人気学部や出題内容はどのように変化するのか?(2016年1月、撮影:梅谷 秀司)

休暇を取る人も多い年末年始。だが、年明けに大学入試を控える受験生やその家族にとっては、落ち着かない日々が続いているかもしれない。

年明けから本格化する2017年度の大学入学試験で、人気となっている学部はどこなのだろうか。大手予備校・河合塾教育情報部チーフの岩瀬香織氏によれば、2015年度以降の大学入試は国公立大・私立大とも「文系の人気が盛り返している」という。

とりわけ法、経済といった社会科学系の学部に志望者が集まる一方で、理系学部は理学部などを中心に志望者数が伸び悩む、“文高理低”の傾向が見られる。

人気学部は理系から文系に回帰

「(2008年の)金融危機後は就職に有利なイメージがある理系や、資格が取りやすい学部に人気が集まった。直近は大学生の就職環境が改善していることもあり、理系にはかつてのような勢いが見られない」(岩瀬氏)。

2012年度以降に入学した高校生は、新しい学習指導要領に基づいた入試問題を解くことになるが、「理科など一部の科目で、旧課程より出題範囲が広がったこともあり、理系科目を難しいと感じた生徒が理系学部を敬遠している可能性がある」(同)。

国立大学では2013年に出た「国立大学改革プラン」を踏まえ、学部の再編などを積極的に進めている。2017年度もその傾向は変わらず、教育学部総合課程(教育職員免許状の取得が卒業要件にならない、いわゆる「ゼロ免課程」)の廃止や、文系学部から理系学部への入学定員シフト、新学部の新設などを打ち出している大学も少なくない。

こうした動きは、前述の“文高理低”の傾向に矛盾する部分もある。河合塾のデータによれば、一部の大学で定員数と志望者数にミスマッチが生まれている。

たとえば滋賀大学では、経済学部(昼間主)の募集人員を昨年の200人から150人に減らし、データサイエンス学部(募集人数60人)を新設。ところが全統マーク模試のデータでは、経済学部の志望者数は昨年の566人から今年の637人に1割以上増加し、新設のデータサイエンス学部の志望者は募集人員とほぼ同数の61人にすぎない。

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