鈴木大地氏「東京五輪、金メダル30個目指す」 スポーツ庁長官が見据える2020年とその先

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「東京五輪で、日本の金メダル30個。大いに結構だと思います」と力を込める鈴木大地・スポーツ庁長官(撮影:尾形文繁)
2020年の東京五輪・パラリンピックまで、残すところ約1200日。五輪を見据えた選手の強化育成と、スポーツの普及・振興に向けて一昨年の10月、文部科学省の外局として設立されたのがスポーツ庁だ。
設立と同時に初代長官に就任したのは、1988年のソウル五輪・競泳背泳ぎ金メダリストである鈴木大地氏。東京五輪・パラリンピックに向けて、今、何を進めているのか。2017年度から5年間のスポーツ施策の指針である「第2期スポーツ基本計画」発表を直前に控える鈴木長官に聞いた。

 

高校球児から他競技で生きる「才能」を見つけたい

――昨年10月に、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えた選手強化の方針と支援策、通称「鈴木プラン」を発表しました。

スポーツ庁ができて、ちょうど1年というタイミングで打ち出しました。骨子としてはまず、日本オリンピック委員会(JOC)や日本パラリンピック委員会(JPC)、日本体育協会などたくさんあるスポーツ団体に関して、横串を刺して、連携していこうということです。スポーツ庁が中心となり、各競技の団体や選手を支えるために、「みんなで同じ方向を向いて頑張っていきましょう」という方針を確立しました。

じゃあ、そのために具体的に何をするか。東京都北区には2008年にできた味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)、その隣接地に2001年に設置した国立スポーツ科学センター(JISS)というトップアスリート向けの総合的なサポートセンターがあるのですが、相互に選手に関する情報をやり取りし、選手もトレーニングに役立つさまざまな情報にアクセスできるように仕組み作りを進めていきます。

――新たなアスリートの「発掘」にも力を入れます。

少子化の進む中でも、競技力を維持し、いや、むしろ向上させていかねばならない。そのためには、アスリートの競技適性をしっかり見極め、適材適所でトレーニングを積むことが大事になってきます。

私なりにいろいろ見てきた中で、日本の場合、やはり野球に人材が集まりやすい。それを生かし切れていればいいのですが、実際に試合に出るのは9人で、高校野球でベンチ入りできる選手も(甲子園の場合)18人。17万人の高校球児がいる中で、1年のうちに実際に試合に出るのは5万人といわれます。つまり、12万人が試合に出られないわけで、これは非常にもったいない。

もちろん、試合に出られなくても3年間頑張るというのは、本当に立派です。でも、そういう選手の中に、他競技に挑戦した場合に大きな可能性を秘めている人がいるのではないかと。そこでわれわれが「甲子園は行けなかったかもしれない。でも、オリンピックに行ってみない?」とささやく。そして、「よし、やってみよう!」と手を挙げた人を野球以外の競技にコンバートしていこうという考えです。

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