「リーガルデザイン」は世界をどう変えるのか 法律のグレーゾーンはビジョンで乗り越えよ
「リーガルデザイン」とはどのような考えか
――書籍のタイトルにもなっていますが、提唱されている「リーガルデザイン」とはどのような考えでしょうか?
法の機能を単なる規制ととらえるのではなく、社会をドライブしていくための「潤滑油」としてとらえる考え方です。法律や契約といった法には、私たちの行動を規制する、というネガティブなイメージが強いかもしれませんが、柔軟な思考で主体的に設計していけば、自分たちが実現したいことを促進し、イノベーションを加速させるツールにもなりえます。
新しいサービスやクリエーションを世に広めていく際に、うまく広がっていくための滑走路を作っていくようなイメージです。企業法務の仕事でいうと、「予防法務」と「紛争解決」に分けられるのが一般的ですが、リーガルデザインの主戦場は予防法務よりさらに以前の「戦略法務」にあたる部分になります。
かつては、社会全体を見通して全体の制度設計をする人がいて、法律をどんと作り、それですべてをマネージするというボトムダウン型のガバナンスが主流でした。しかし、現代の高度情報化社会においては、歴史上かつてなかったほどに現実と法律との乖離、すなわち法律的な「グレーゾーン」が広がっていて、法の解釈や運用に生じる「余白」や「ゆらぎ」をクリエーティブに解釈する余地も、かつてないほど広がっています。
法律だけではガバナンスがうまくいかないことは明らかで、法という手段を使うのか、違う手段を使うのか、国がパターナリスティックに介入するのか、業界の自主的なガイドラインに委ねるのか等々、とても難易度が高い時代に突入しています。
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