「信頼され続けるメディア」は何が違うのか

エコノミスト誌が174年間堅持していること

「歴史に対する感覚の重要性」「信頼されるメディアのあり方」について語る『エコノミスト』のダニエル・フランクリン編集局長(撮影:ヒダキトモコ)
『エコノミスト』は1843年に英国ロンドンで創刊した週刊誌。この15年で部数を倍増させ、現在の発行部数は155万部に及ぶ。グローバルエリートを中心に、世界200カ国以上で読まれている雑誌だ。各分野の記者と社外執筆者が20の分野で2050年を徹底予測した書籍『2050年の技術』の日本語版発刊を記念して来日したダニエル・フランクリン編集局長に、「歴史に対する感覚の重要性」「信頼されるメディアのあり方」について話を聞いた。

 

山田:『2050年の技術』を読んで感じたのは技術が社会にもたらす影響を考える際に、過去から現在を俯瞰する視点が重要ということです。まずは、そのことに関連したお話を伺いたいと思います。『エコノミスト』では歴史に対する識見を、どの程度、重視しているのでしょうか。

歴史に対する感覚は非常に重要

フランクリン:歴史に対する鋭い感覚は非常に重要なスキルだと考えています。『2050年の技術』の第1章でトム・スタンデージが書いているように、歴史を知るということは、未来を予測する上で重要なツールキットです。歴史がそのまま繰り返すことはありませんが、歴史を見ることによって、新しいものが起きた時にどのような反応が起きるのか、そのパターンをある程度予測できるということです。

例えば、新しい技術が登場した時には、人々の間ではモラルパニックが起きます。気持ち的にみんながざわざわして不安に陥るわけです。トムはいくつか具体例を挙げていて、「電報は19世紀ビクトリア時代におけるインターネットだった」と書いています。実際、電報は当時のおける画期的なコミュニケーション革命だったためモラルパニックを引き起こしました。インターネットやAI(人工知能)などの新しい技術が社会にもたらす影響について考える場合、この歴史を知っていることは大きな助けになると思います。

いま研究開発が進んでいる自動走行車の場合もそうです。馬車から自動車に変わった時と同じような反応が起きているとは思いませんか。当時の人々の心配というのは、馬の付いてない車の安全性は大丈夫なのか、交通規制はどうなってしまうんだ、馬の世話をしている人たちの雇用が失われるのは問題だ、といったもの。今回もそれとまったく同じことが心配されています。

私たち『エコノミスト』の使命は、非常に複雑で変化の多いこの世界において、何が起きているのかを読者に説明することです。その際に歴史的文脈で説明することはきわめて有効だと考えています。

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