「部屋の壁から、幽霊が出てくる!」「大家さんにセクハラされた!」「愛車のBMWからネコをどかせて!」――。
賃貸不動産業界への綿密な取材に基づく小説『お客さま、そのクレームにはお応えできません!』には、賃貸不動産会社の管理部に寄せられる、住人たちからの驚きのクレームの数々が登場する。
とんでもクレームが多く寄せられるようになった背景とは。クレームを生まない物件づくりは可能なのか。同書の著者である三浦展氏と、賃貸不動産管理会社の支店長などを経験し、賃貸住宅事情に詳しいハウスメイトパートナーズの谷尚子氏に聞いた。
入居者からのクレームに忙殺される管理担当者
司会:『お客さま、そのクレームにはお応えできません!』の中では、不動産店の店長である主人公が「(賃貸不動産会社の)管理部は、ほぼクレーマー対応が仕事ね」と語る一文があります。
実際に、入居者からのクレームはかなり多いのでしょうか。
谷:入居者さんはお客様なので、クレーマーというと語弊がありますが、賃貸物件の管理の仕事は、おそらく半分くらいが苦情やご相談の対応でしょうね。
もちろん、本当に問題が起きている場合もあるのですが、中には必ずしも深刻なトラブルではなくて、ちょっと対応に困るようなものも多いんです。
たとえば、春になると増えるのが、「排水口が詰まった」というクレーム。そこでスタッフが急ぎ現地に行ってみたら、髪の毛が詰まっているだけ、なんてことも(笑)。学生や新入社員の初めての1人暮らしだと、掃除をしなければ排水口が詰まるということを知らないんですね。
三浦:それまではお母さんがやってくれていたのかな。お母さん自身がもうあまり掃除をしない世代のような気もするし(笑)。
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