厄介なクレーマーに悩まされないための知恵 「粘質」と「病的」なタイプの上手なかわし方

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特殊クレームにはそれぞれ見分けるサインが存在します。

粘質タイプであれば、「説教くさい」ということです。「教えてやる」「お前のためを思って」「世の中をよくするために言っているんだ」とか、「お前たちの店はそんなことをしていたら、だめになる。だから俺の意見をよく聴きなさい」などの言葉が出てきたら、要注意です。

そして、理路整然と、ロジカルに話してきます。だから一見、まともに思われます。しかし、よく聞いてみると、言われても解決のしようがなく、どうにもならないことであったり、現場の人間に言ってもお門違いな話だったりします。

そして、こういう人たちは、店長や社長など、偉い人と話したがります。役所であれば、「市民を代表して言いたいことがあるから、市長を呼べ」と言ってきます。偉い人に「申し訳ありませんでした」と言わせることで、寂寥(せきりょう)感や孤独感を埋め、自尊心を保とうとするのです。そのため、「お前みたいなヒラじゃだめだ。俺が教えてやるから上の人間を出せ」と言う傾向が強くあります。

粘質タイプのクレーマーの多くは、寂しくて誰かに相手をしてほしいだけの、元は常識ある人です。そのため、大ごとになり、非常識な人という扱いを受けることを嫌がります。そこで、組織として決まりごとをつくっておき、あまりしつこい場合は、これ以上やったら大ごとにする旨をにおわせます。

「○○様のおっしゃっていることはよく聴いております。○○の点についてはよくわかります。ただし、○○様のお話をお聴きしたことで、これだけの時間を私どもは失っております。これ以上続くようであれば、不本意ですがしかるべき専門部署に引き継がなければならなくなります」

はっきりと言わなくても、このようににおわせるだけでもかまいません。プライドを傷つけないように対応すれば、粘質タイプのクレーマーは引き下がります。

病的タイプは心に問題を抱えている場合が多い

もうひとつの特殊クレーマーは、病的タイプです。こちらは、妄想型パーソナリティ障害の特徴と似た部分があるといわれています。精神的に病んでいることが多く、クレームを言うよりも、真の目的は担当者との心理的密着によって、心の欠損を埋めることにあります。心が満たされない場合、傷害を加えるなどの加害行為に及ぶ可能性もあり、注意が必要なタイプです。

この種のクレーマーは、若く、家に引きこもる人が多い傾向があります。こちらとしてはまったく関係のない問題でクレームを言ってきたりします。

この人たちの問題は、この人たちの心の中にあります。解決のしようもなく、非常に厄介なクレームです。今、企業の現場や、特に役所の窓口などで、いちばん困っているのが、このタイプの特殊クレーマーではないでしょうか。

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