アニメ「聖地」で魅力PR、京阪と叡電の挑戦 きっかけは「けいおん!」巡礼者だった

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2011年8月に行われた「けいおん!」ラッピング電車の撮影会。お気に入りのキャラクターたちを間近で撮ろうとたくさんのファンが詰めかけた(写真提供:京阪電気鉄道)

「聖地巡礼」という言葉が、社会現象として注目を集めている。アニメファンが作品のモデルとなった土地を訪ね歩くことを比喩した言葉で、人気作品と縁ができた茨城県大洗、岐阜県高山などの「聖地」には大量のファンが押しかけ、彼らの熱気と経済効果に地元は驚愕する。

鉄道会社でも、ファンにアピールすべく、アニメキャラクターのラッピング車両を走らせるなど仕掛けに工夫している路線が少なくない。

その先駆者が、京阪電気鉄道、そして系列の叡山(えいざん)電鉄だ。「聖地」となった機会を生かして沿線の魅力向上を目指す両社の取り組みを紹介していこう。

沿線に現れた「巡礼者」

叡電の運転士、福村哲也さんが「巡礼者」に気づいたのは2009年のことだ。4月になって、突然、修学院駅や電車を撮影する人たちが増え始めた。

福村さんには、その理由が想像できた。数日前に放映された新作テレビアニメ「けいおん!」第1話のオープニングで、叡電っぽい電車や踏切が描かれていたのを見ていたからだ。自分の鉄道がアニメ作品に登場したのには驚いたし、素直に嬉しかった。

「うちの会社、もしかしたら『聖地』になるんじゃないか」……そんな予感もあった。ネット上では、放映当日から、ふんわりとした作風に魅了されたファンたちの言葉であふれていた。

「けいおん!」は、2009年のアニメで随一の人気作となる。叡電で「聖地」を巡礼する人たちは日に日に増えていった。作中で、軽音楽部に所属する女子高生たちの何気ない日常と共に、叡電と沿線風景が印象的に描かれていたことも大きい。公式には舞台のモデルについて何も言及はなかったが、それでもファンは全国から集まった。

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