暴力団員数が初めて「2万人」を割ったワケ 「組」をやめた人は、どこに行くのか

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各業界で暴力団排除がすすむ(写真:polkadot / PIXTA)
当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

昨年、全国の暴力団員の構成員数が約1万8100人となり、統計をとりはじめた1958年以降、初めて2万人を下回ったことが警察庁のまとめでわかった。

報道によると、全国の暴力団員と準構成員の数は、昨年末の時点で計約3万9100人で、一昨年とくらべて約7800人減った。このうち暴力団員は約1万8100人、ピーク時だった1963年(約10万2600人)の2割ほどに減少した。

暴力団の構成員が減った理由

(警察庁・組織犯罪の情勢)より

暴力団をめぐっては、日本最大の指定暴力団「山口組」が分裂して以降、抗争のおそれが指摘されている。一方で、暴対法・暴排条例などで、対策がすすんでいるといわれている。暴力団員減少の背景はなにか。彼らはどこにいったのか。民事介入暴力にくわしい中井克洋弁護士に聞いた。

「やはり、各業界で暴力団排除がすすんで、暴力団員にとって住みにくい世の中になったことが大きいと思います。

たとえば、暴力団員は以前、自分が◯◯組の△△だと示すことが、お金を稼ぐための手段であったとともに、相手が恐れてくれることで自尊心も満たされていたのではないでしょうか。有名な親分と知り合いであることを自慢していた一般人もいたように思います。

ところが、2007年の政府犯罪対策閣僚会議幹事会『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』や、2010年から2011年にかけて、全国の都道府県で制定された暴排条例などによって、企業などが暴力団等との取引を一切遮断すべきことが示されました。

そのため、暴力団員との取引が明るみにでれば、企業や行政もコンプライアンス違反として、法的にも社会的にも強く非難されるようになりました。その流れのなかで、銀行取引をはじめとして、各業界で暴力団員との取引拒絶がすすめられました。

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