シトロエン「キモカワ系」小型車の意外な魅力 「C4カクタス」、実は優れたアスリートだ

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シトロエンの用語で「5段ETG(エフィシェント・トロニック・ギアボックス)」と呼ばれるこの5段ロボット変速オートマチックは、いちいちクラッチを切ってから変速するシステムである。次のギアを用意しつつ、瞬時に切り替えるデュアル・クラッチ式とはおのずと違って、遅いのも道理なのだ。

昨年秋に限定200台が発売されたC4カクタスはあっという間に売り切れた。シトロエニスト諸兄は5段ETGであることを知って、なお受け入れているのは理屈がわかっているからである。つまり、このオートマチックはいささか変速マナーはヘンテコだけれど、安くて効率がよい。だからシトロエンはいまも使っているのだ、と。

本国では1.6リッター・ディーゼル+6段オートマチックの組み合わせもあるけれど、日本仕様はガソリンの1.2リッター直列3気筒DOHCエンジン+前述の5段ETGのみである。1.2リッター・ガソリンは自然吸気で最高出力82psに過ぎない。最大トルクは12.0kgm(118Nm)で、凡庸そのもの。だけれど、それがシトロエン=フランス車なのである。

Citroën C4 Cactus exclusive clip from Geneva Motor Show 2014

C4カクタスはキモカワイイ

カクタスは全長4144mmで、サイズ的にはフォルクスワーゲン・ゴルフとポロの中間ながら、車重は1070kgにとどまっている。全長4265mmのゴルフは1240kg、同3995mmのポロは1130kgである。カクタスの驚異的な軽さがご理解いただけると思う。ゴルフの場合、同じ排気量1.2リッターでもターボ過給を必要とする理由もこの車重の違いが物語る。

“美少女”といっても、国民的美少女のゴクミみたいではなくて、キモカワイイ部類に属する。イモトアヤコみたいなのである、どっちかといえば。イモトがじつは優れたアスリートであるように、C4カクタスは飛ばせば飛ばすほどに実力を発揮する。

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