「MINI」はなぜゴルフより大きくなったのか 今秋には初のPHVを投入し首位固め
MINI(ミニ)はどこまで大きくなるのか――。
ビー・エム・ダブリュー(BMW)は2月23日、傘下のMINIブランドで新型コンパクトSUV(多目的スポーツ車)「MINIクロスオーバー」をフルモデルチェンジして発売した。納車は「ミニの日」とかけて3月2日から。価格は386万円~483万円。
何と言っても目をひくのは、大幅なサイズアップだ。先代モデルと比べ、全長を195ミリメートル(以下、ミリ)、全幅を30ミリ、全高を45ミリ拡大。サイズは4315ミリ×1820ミリ×1595ミリとなり、「57年のMINIの歴史上、一番大きい車だ」(フランソワ・ロカMINI本部長)。他車と比べてみても、世界的に競合車種が多いCセグメントを代表するフォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」をすべてのサイズで上回るほか、トヨタのハイブリッドカー「プリウス」ともほぼ同じだ。もはやMINIとは言えないサイズ感になっている。
新ブランド戦略が奏功
MINIは1959年にイギリスで誕生した名前のとおりミニサイズの大衆車ブランドだった。その後、ローバーが1994年にBMW傘下に入ったこと等をきっかけに、2001年からBMWが手がける新ブランド「MINI」として生まれ変わった。BMWが車種構成の見直しを進める中で、MINIはこれまでのスモールセグメントからコンパクトセグメントへサイズアップを図るとともに、それぞれの車種の特長を整理した新ブランド戦略が奏功し、世界的に伸びている。ロカ本部長は「昔はヤンチャで若いイメージ。それはそれですごく良かった。だが、世界の競争環境や顧客ターゲットが変わる中、顧客はもうちょっと大人の洗練された車を欲しがっている」と分析する。
新ブランド戦略が特に効いた国のひとつが日本だ。MINIにとって、今や日本は中国、アメリカ、イギリス、ドイツに続くトップ5に入る重要マーケットに成長している。2016年の外国メーカー車モデル別販売台数では、VWのゴルフが初めて首位陥落。その座を奪ったのが、まさにMINIだ。ゴルフが2万2802台の一方、MINIは2万4548台で過去最高の販売台数となった。
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