貴重映像!満鉄「あじあ号」の機関車が動いた 煙上げ「パシナ」が走る1984年の動画がここに

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煙をあげて走り出す旧満鉄の蒸気機関車「パシナ」=1984年(筆者撮影)

鉄道開業時からの宿願である高速化。現在、東海道新幹線の「のぞみ」は東京-新大阪間を最高時速285キロメートル、約2時間半で結ぶが、日本の高速鉄道計画は戦前の「弾丸列車」にさかのぼる。東京から下関を結び、将来的には朝鮮半島、さらには北京まで乗り入れるという壮大な鉄道計画で、現在の新幹線と同様、在来線とは別に線路幅の広い (標準軌・1435ミリメートル)専用新線を建設し、時速200キロメートルでの運転を想定していた。

その弾丸列車構想より少し前の1934(昭和9)年、満州(現在の中国東北部)を走る南満州鉄道に特急「あじあ」号が誕生した。

標準軌の満鉄を走る「あじあ」号は大連-新京(現在の長春)間701.1キロメートルを最高時速120キロ、平均時速82.5キロというスピードで8時間30分で結び、展望車、豪華客室、食堂車を備え、さらに車内はすべてエアコン完備と、当時世界有数の豪華さと俊足を誇った。標準軌鉄道による高速列車が満州の地で実現したのだ。

消息不明だったあじあ号の機関車

その伝説的な列車「あじあ」号を牽引した蒸気機関車が流線形の「パシナ形」である。太平洋戦争末期、満州に進攻したソビエト(現ロシア)によって満州国、そして南満州鉄道は終焉を迎え、車両の多くはソ連に接収されたが、一部の日本製機関車は戦後も中国大陸を走っていた。だが、パシナ形機関車はその消息が途絶えたままになっていた。

日中国交回復が図られると、多くの日本人が中国への観光旅行に出かけるようになり、中国鉄道ツアーも実施された。筆者が初めて中国を訪れ、鉄道の現状、そして残っていたパシナ形に出会ったのは1983年のことだった。

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