「夜は短し歩けよ乙女」人気小説アニメの裏側 作者から見たビジネスの功利と作品への葛藤
――原作とアニメを見比べてギャップを感じますか。
僕がいちばん、違和感を覚えているかもしれません。よく原作とアニメの世界が一致しているかと聞かれますが、僕の小説は言葉を膨らませることで映像が浮かんでくるような書き方。言葉とは切っても切り離せないので、言葉のないアニメとイメージが一致することはありえません。
でも『四畳半神話大系』と『有頂天家族』もそうでしたが、見ているうちにだんだん慣れてきます。自分にとっての作品は小説で、アニメは監督の作品だから。
――『夜は短し歩けよ乙女』ではキャラクターや脚本もチェックした?
送られてくるので一応見ました。間違いや客観的に考えてみて問題があるようなら指摘しますが、自分の原作や意見と違うから何か言うことはありません。監督の解釈や作りたい映像、それらの思いが渾然一体となっているので、そこに口出しすることは基本的にはないのです。作中に出てくる「詭弁踊り」も実際に映像化されていましたし。
「多少は変なことになってもやむをえない」
――アニメ化に対する葛藤は?
今もあります。『夜は短し歩けよ乙女』は僕にとって”箱入り娘“だから、あまり誰かに渡したくありません。でも『四畳半神話大系』(2010年にテレビアニメ化)のチームが制作することであきらめがつきました。湯浅さん(湯浅政明監督)たちに好きにやってもらおうと。
結局はあきらめですよ。僕はそこらへんが大事で、別に作品が映像化されなくても構わない。どこの誰かわからない人に任せるのは嫌だから、その人の作品を見て、人柄なども見て、この人に任せておけば多少は変なことになってもやむをえないとあきらめがついたらお渡ししようと決めています。
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