全労働者の4割近くまで増えた非正規労働者。パート、アルバイトや派遣、期間従業員などの非正社員はこの10年で約280万人増えたが(総務省「労働力調査」)、さまざまな事情によって非正社員を減らしている会社もある。
東洋経済オンラインは昨年に続き、上場企業で働く非正社員の実態を調査した。これまで「最新!これが『非正社員の多い』トップ500社」(3月16日配信)、「『非正社員への依存度が大きい』トップ500社」(3月23日配信)、「『非正社員数を増やした』500社ランキング」(3月24日配信)を紹介してきたが、最終第4弾として5年前と比べて非正社員数を大きく減らした会社の最新ランキングをお届けしよう。
有価証券報告書には「非正社員」が「臨時従業員」として規定され、全従業員数の1割以上を占める場合、年間平均人数の開示が義務付けられている。データは各社の決算期にあわせて2015年11月期~2016年10月期と、2010年11月期~2011年10月期を比較して非正社員数の増減数を調べた。このうち減少数の多かった順に上位300社を並べた。各社の非正社員数、5年前比非正社員増減率、非正社員比率も併載した。
非正社員の不安定さを裏付ける
1位は日産自動車。2011年3月期の非正社員は2万7816人だったが、直近の2016年3月期には1万9007人となり、この5年間で8809人減った。3位の日本マクドナルドホールディングスは7352人減。マクドナルドの要因として大きいのは直営店をフランチャイズ(FC)店へと転換してきたことだろう。非正社員の比率で見れば依存度は大きく変化していない。ここ最近は復調傾向にあるものの、一時の業績不振を受けた店舗大量閉鎖の影響もありそうだ。
上位企業の多くは非正社員とともに一般的な従業員も減らしている傾向がある。ランキングでは単純な人数の変化のみを示しているに過ぎないが、減らし方の程度には違いがみられる。
上位100社の非正社員と正社員の5年増減率を比較すると、84社で非正社員の減少率のほうが高かった。FCへの転換や分社化など特殊な事情を除いて非正社員、従業員ともに減っている会社の中には、業績不振からのリストラを進めている会社が少なくなく、正社員より先に非正社員からリストラが行われている可能性が高い。
非正社員は労働条件を自由に設定して働くことができるよさがある反面、雇用の継続が不安定であることを裏付ける結果だ。一方で、非正社員を積極的に減らし、むしろ正社員数を増加させている会社もあるので、業績動向とともに見極めたい。
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