「トランプ」と「テロ」、航空会社はどう戦うか

航空業界団体「IATA」の事務総長に直撃した

昨年IATAの事務総長に就任したばかりのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック氏。就任後初の来日で、航空・空港各社の幹部と面会した(撮影:尾形文繁)
「われわれの国家は強力な国境管理と厳格な身元調査を必要としている。まさに今がそのときだ。欧州、そして世界で起きていることを見てみろ。ひどい有様だ!」
トランプ米国大統領は今年1月、イスラム圏7カ国の旅客の入国制限を命じる大統領令に署名し、ツイッターでそう言い放った。米国に乗り入れる航空会社も対応に迫られ、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)も対象客の搭乗を原則として断るとした。その後米連邦地裁が命令を差し止めたことを受け、両社は搭乗拒否を撤回した。
しかし3月6日、トランプ氏は再び入国制限令への署名に踏み切った。3月15日には連邦地裁が再び差し止めの仮処分を下したものの、政権側は上訴中だ。
「保護主義的な政策が広がれば、少なからず航空需要への影響は出てくるだろう」。こう分析するのは、世界の航空会社265社が加盟する業界団体、国際航空運送協会(IATA)のアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長だ。JALやANAなど、航空業界は渡航の自由を制限するトランプ政権の動きを警戒する。
テロなどのリスクも依然として航空会社にとって頭の痛い問題だ。機内や空港での安全確保は常に求められるうえ、実際にテロが起これば渡航需要への打撃となりかねない。政策や安全のリスクに航空業界はどう備えるのか。今月来日したIATAのドゥ・ジュニアック事務総長に話を聞いた。

「開かれた国境」を強く求める

――トランプ政権の動きをどう考えているか。

1月に出された最初の大統領令は事前の周知や協議がなく、異例だった。国境管理は各国の責任範囲ではあるが、(政策の変更は)正しく、秩序だった手法でなければならない。事前協議や情報共有も求められる。(混乱を避けるためには)税関、警察、航空会社、空港会社、旅行会社など、すべてのステークホルダーに準備が必要だ。

3月に出された新たな大統領令は、最初のものよりはきちんと準備されたものだと考えている。ただ原則として、渡航制限はわれわれが求めるものではない。業界にとってネガティブなことだ。ドイツ、フランス、オランダでは今年に総選挙が予定されており、結果次第では航空需要にも影響するだろう。

われわれが提唱しているのはオープンボーダー(開かれた国境)。保護主義的な政策には反対だ。トランプ政権など各国政府には強く主張し、ロビー活動を行う。加盟航空会社にも同様の取り組みを求めている。航空事業は「自由」を促すビジネスであり、多くの人々がその恩恵を受けている。

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