冠婚葬祭業に蔓延する「個人請負」の深い闇 従業員約7000人のうち正社員はたった32人

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大阪府のベルコ本部に隣接する同社結婚式場。冠婚葬祭業界内での同社の存在感は圧倒的(記者撮影)

前もって受け取る掛け金を元手に、葬儀や結婚式などのサービスを提供する全国の「冠婚葬祭互助会」(互助会)。加入者数(口数)は約2400万、掛け金の総額は2兆4000億円に上り、葬儀市場のシェア5割超を占めるとみられる巨大業界だ。

最大手は「玉姫殿」で知られ、大阪を本拠に全国展開するベルコ(齋藤斎社長)。社長が業界団体の会長を務める同社だが、その独特の雇用システムが表面化し、目下波紋を呼んでいる。

労働組合の結成を理由に解雇されたとして、ベルコの北海道内の代理店で働いていた元従業員二人が、同社に解雇撤回を求め札幌地方裁判所で係争中だ。この裁判や並行して進む北海道労働委員会の審理の中で明らかとなったのが、同社の徹底した「業務委託契約」の活用だ。

経理担当や相談室のスタッフも「個人請負」

ベルコが昨年7月、監督官庁の経済産業省に提出した報告書によれば、全従業員7128人のうち、正社員はたった32人。残る7000人超は同社と直接に業務委託契約書を取り交わすか、取り交わした代理店主(支部長)と雇用契約を結んでいる。ただ原告側によれば、代理店主といっても名ばかりで、雇用される側も実態は業務委託と何ら変わらないという。

同社の内部資料では、業務委託の対象となっているのは、互助会の会員募集を行う営業職にとどまらない。葬祭関連だと葬祭所長やホールの館長から施行スタッフまで、冠婚関連でも結婚式場の支配人からフロント担当者まで、すべて業務委託契約を結ぶことになっている。

それは間接部門の各地の支社でも同様だ。管理職であるはずの支社長や支社長代理、さらに現場の経理や消費者相談室のスタッフまで、一様に業務委託契約を結んでいる。

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