冠婚葬祭業に蔓延する「個人請負」の深い闇

従業員約7000人のうち正社員はたった32人

業務委託や請負など、当事者間でどういった契約を結んでいたとしても、裁判所や労働委員会で「使用従属性」があると判断されれば、労働法規の適用対象となる。

法政大学の浜村彰教授(労働法)は、「通達で人事異動を命じているわけだから、これは指揮命令そのもの。使用従属性が十分認められうるケースだ」と語る。

「ベルコ方式」が互助会業界に蔓延

戦後に始まった互助会は大型式場を建てたり、テレビCMを打ち出したりする手法で拡大したが、近年は「家族葬」など冠婚葬祭の簡素化が響き、加入者数も頭打ちとなっている。そうした市場環境の中、この「ベルコ方式」が互助会業界に蔓延している。

ベルコの社内報。いちばん右が独自の雇用システムを構築した齋藤秀市名誉会長。3人の息子が跡を継いでいる(撮影:今井康一)

「遺族をだますような仕事に疑問を感じるようになった」。ベルコとは別の北関東の大手互助会で葬祭館長を務めていた男性(59)はそう振り返る。

男性は当初、会員獲得の代理店として働いていたが、会社が従来は正社員が担っていた葬祭部門を代理店方式に切り替えたのを機に館長となった。「いつ仕事が入るかわからず、拘束時間が長い。まともに残業代を支払ったら大変なことになる。それで個人請負に切り替えられた」(男性)。

長時間労働以上に男性を悩ませたのが、互助会のプランに含まれる祭壇や棺をより高額な商品に変更する「ランクアップ」や、プラン外サービスの勧誘を会社から強要されたことだ。「別途10万円以上かかるエンバーミング(遺体衛生保全)の契約を取ることは事実上ノルマだった。嫌がる遺族に法律上必要とウソをついてまで、説得することはできなかった」(同)。

「周囲に請われて独立したが、経営が立ち行かなくなった」。さらに別の、関西大手互助会の元社員の男性(56)は悔やむ。男性はこの互助会に新卒で正社員として採用され、主に営業畑を歩んできた。好景気のときは800万円台の年収を得ていたが、経営者が変わり正社員の仕事は徐々に業務委託に切り替えられていった。

その結果、全盛期には600人程度だった正社員は数十人まで激減。「課長や部長など管理職に昇進すると退社し委託契約になることが求められた。嫌がる社員には不本意な異動をちらつかせて、転換を迫っていた」(別の元社員)。

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