売れない高すぎマンション、価格は下がる? 都内23区の坪単価332万円、2年で15%上昇

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不動産経済研究所によると、2016年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)で販売されたマンションの平均価格は5490万円。5年間で1000万円近く上昇した。都内23区の1坪(約3.3平方メートル)当たり単価は、2014年の288万円から2016年は332万円と、2年間で15%上昇した。

ここまで値上がりしてきたのは地価と建築費の両方が上昇しているからだ。この数年、都心の用地仕入れは困難を極めている。再開発やホテルの建設ラッシュも相まって、マンションに適した用地は小間切れに出てくるだけ。都心で“駅近”の土地が入札に出れば、4~5社が参加して、価格は瞬く間にハネ上がる。最近は「用地仕入れでは入札には参加せず、相対で交渉できる案件に限定している」と割り切る大手デベロッパーもいる。

ゼネコンは相見積もりを拒否

かつては、土地を高値づかみしてもゼネコンと交渉して建築費を抑えれば、販売価格の上昇を抑制できた。だが、今は工事を希望の期日までに終えてもらうには、高い建築費を支払わざるをえない。東京五輪に向けて案件が次から次に舞い込む建設業界では職人不足が深刻で、ゼネコン側が採算のいい工事を慎重に選んでいるためだ。

ある中堅ゼネコンの幹部は、「マンションは特定のお客様からの案件しか受注しない。複数の業者に相見積もりをさせて契約金額を下げるような物件は遠慮させていただいている」と断言する。

新築物件の売れ行きが鈍る中、供給戸数は減少。2016年の首都圏のマンション発売戸数は3万5772戸と、平成バブル崩壊直後の1992年以来の低水準を記録した(不動産経済研究所調べ)。

その裏で、デベロッパーが抱えるマンションの在庫は年々増加。大手4社の2016年度(12月末時点)の在庫は2158戸と3年前に比べ3倍弱にまで膨れ上がった。

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