マック、「ポイント導入」で客足は戻るのか 限定商品頼みの戦略から方針を転換

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実は、dポイントの導入にあたっては、2015年12月から東京都内の約100店、今年1月からは福岡県内の96店で試験導入していた。その効果は上々だったようだ。マクドナルド・デジタル部の渡邉英右上席部長は「非常に多くのお客様にご来店いただいた。新しいお客様に来てもらえていることがわかっている」と自信を見せる。

dポイントの導入でマクドナルドが狙うのは当然、客数の底上げだ。

長らく不振だったマクドナルドの業績は、現在回復基調に入つつある。2016年の業績は、不採算店閉鎖の効果などで営業利益は69億円(前期は234億円の赤字)と3期ぶりに黒字化を達成。ようやく復活の兆しが見えてきたが、まだ大きな課題が残っている。それが客数だった。

ポイント導入で客は増えるか

昨年の既存店売上高は通期で前期比20%増と大幅に拡大した。牽引したのは、矢継ぎ早に投入した高単価の限定商品だ。たとえば、4月発売の「グランドビッグマック」は520円と高価格で、2016年夏ごろまでは客単価の伸びが目立っていた。

「dポイントカード、お持ちですか」。3月からはそんなやりとりが増えそうだ(撮影:尾形文繁)

そこで、マクドナルドは9月に平日昼限定のセット割引「バリューランチ」を導入するなど、客数増に向けた施策を打ち出した。今年も「マクドナルド総選挙」と題した定番商品の人気投票をするキャンペーンを展開した。これらの施策からは、限定商品ではなく、売り上げ構成比の高い定番商品を訴求し、来店頻度を上げようとする狙いが見えてくる。

すでに成果も出始めている。昨年後半から客数の伸びは強まっており、足元でも、2017年1月の既存店売上高は前年同期比12.3%増、客数も11%増と2ケタ増を記録している。

マクドナルドは2015年~2016年初頭にかけて都心部の店舗を中心に不採算店閉鎖を実行したが、その効果はほぼ一巡した。閉店効果によらずとも収益を回復させていきたいマクドナルドにとって、dポイントの導入は、今後の客数と業績を左右する大きな仕掛けになるだろう。

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