マック、「ポイント導入」で客足は戻るのか 限定商品頼みの戦略から方針を転換

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一方のドコモは何が狙いなのだろうか。

昨年4月、総務省は携帯電話の「実質ゼロ円販売」(2年間の利用を前提に端末代金と同額の料金を値引きする)を禁止するガイドラインを定めた。これによって、かつての乱売競争は鳴りを潜め、販促費などのコストが減ったことから、ドコモは好業績を叩き出している。

2017年3月期の営業利益は会社予想で9400億円だが、これを真に受ける市場関係者は皆無に等しく、大きく上回ることは必至とみられている。

ドコモの業績自体は好調だが…

しかし好業績とは裏腹に、通信以外の収益拡大の取り組みでは「au WALLET Market」(食品など一般商材を販売するサービス)などを進めるKDDIに遅れをとっている感が否めない。KDDIは「10%ポイント還元」などの「ボーナスキャンペーン」を連発することで、ユーザーのお得感を強めているのだ。

ドコモにとって今回の提携は、全国展開する外食チェーンとの初の本格的な提携だ。「これまでは『伊達の牛たん本舗』など地域限定のものだった」(田原部長)。今後のドコモの非通信分野の拡大にとって試金石となる。

増収の流れに弾みをつけたいマクドナルドと、非通信の取り組みで巻き返しを図りたいドコモ。3期ぶり黒字化と空前の好業績という対照的な2社のだが、それぞれが望む結果を生み出すことができるか。提携の成否は互いの本気度がカギになる。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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