freeeとマネーフォワード、特許係争の内実 真っ向から対立する両社の主張
今回紛争の対象になったのは、マネーフォワードが自社のクラウド会計ソフト「MFクラウド会計」に、2016年8月から搭載を始めた自動仕訳機能である。
現在、インターネット上にデータを格納する、クラウド会計ソフトは、freee、マネーフォワードのほか、弥生、フリーウェイジャパン、パイプドビッツ、全国商工会連合会などから出ているが、このうち自動仕訳機能を搭載しているのは、freee、マネーフォワード、弥生の3社だ。
自動仕訳機能とは、インターネットバンキングの取引履歴や、クレジットカードの使用履歴といった、インターネットからデータの形で取り込める情報をソフトに読み込ませると、最適な勘定科目を選んで仕訳までしてくれる機能をいう。
記帳業務の省力化が可能に
従来のPCインストール型会計ソフトは、ソフトをインストールしたPCでなければ使えない。データもそのPCにしか格納されないため、そのPCが壊れてしまえば、データにもアクセスできなくなる。
これに対し、クラウド会計ソフトは、ソフトの供給元のサーバーにデータが格納されるため、インターネットがつながる環境であれば、どこからでもアクセスできて、データを消失させてしまうリスクも格段に軽減される。さらに、自動仕訳機能を使えば、1件1件の取引データごとにユーザーが仕訳を入力する手間が省けるので、一段と記帳業務の省力化が図れる。
この機能をfreeeは2013年3月から搭載しており、同技術の特許もほぼ同時に申請し、2014年3月に特許登録されている。この特許にマネーフォワードのソフトは抵触しているというのがfreee側の主張だ。それに対し、マネーフォワード側はまったく別のロジックで自動仕訳をしているので、特許には抵触していないと反論している。
「freeeの自動仕訳機能は、キーワードと勘定科目をひも付ける対応テーブルと、キーワードを参照する順番を定めた優先ルールの2段構えで最適な勘定科目を決定するが、マネーフォワードは、対応テーブルも優先ルールも使っておらず、これまで蓄積してきた2000万件以上の取引データと仕訳データの組み合わせを、機械学習させることで生成したアルゴリズムで勘定科目を決定している。仕組みの違いは一目瞭然」(マネーフォワード)だという。
ちなみに弥生はPCインスト-ル型では2007年12月から自動仕訳機能を搭載しているが、クラウドではfreeeの特許成立から4カ月後の2014年7月から。それでも現時点ではfreeeの訴訟対象にはなっていない。
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